Allergan、バイオ薬大手のTobira Therapeuticsを買収 

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アイルランドに本拠を置く製薬大手のAllergan Plc は9月20日、バイオ医薬品大手の米Tobira Therapeutics Inc. を最大16億9500万ドルで買収することで合意したと発表した。

1株当たり28.35 ドルの現金と、最大 49.84ドルのContingent Value Right (CVR) を与える。
CVRは「不確定価額受領権」で、Tobiraが具体的な開発、登録に成功し、一定の販売目標を達成した場合にその程度に応じて支払われる。

一時払いされる28.35 ドルは前日の終値(4.74ドル)の6倍に相当する。

買収額が高すぎるとの見方もあり、Allerganの株価は下落した。

Tobira は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:non alcoholic steatohepatitis )と呼ばれる肝臓病の治療薬を開発している。

肝細胞の約 1/3 以上脂肪がたまっている状態、又は脂質量が肝重量の5~10%以上を占めるのが脂肪肝。
脂肪肝にはアルコール性と非アルコール性がある。

非アルコール性脂肪肝に、もう一つの原因が加わり、炎症を起こしたものがNASHで、肝硬変や肝癌に進むことがある。

現在、FDAの認可を受けた治療薬はない。

TobiraはNASH治療薬として、Cenicriviroc (CVC) とEvogliptin の2剤 を開発している。これがAllergan の消化器病系のパイプラインに加わる。

Evogliptin はTobiraが韓国の東亜STとの契約で、単独又はCVCとの合剤として、米国、カナダ、欧州、豪州で独占的に開発販売する権利を持つ。
逆に東亜STはCVCを単独又はEvogliptinとの合剤として韓国で独占的に開発販売する権利を持つ。

Tobiraは2016年7月のCVCの第2b相試験において、主要評価項目の脂肪肝治療効果を示せなかったと発表した。しかし、同試験において設定されていた副次的主要評価項目のNASHを悪化することなく線維化を改善させるという項目は有意に達成した。

NASHはバイオでは最もホットな分野で、これがAllerganが高値で買収した理由である。

NASH 治療薬を開発しているIntercept Pharmaceuticals、Galectin Therapeutics、Conatus Pharmaceuticals、大手のGilead Inc. などの株価も軒並み上昇した。

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Allerganは同日、NASH治療薬としてAKN-083を開発中の英国のAkarna Therapeutics Ltd.を買収すると発表した。他に開発中のFXR compounds を持つ。

一時金 50百万ドルで、開発に応じたマイルストーン支払が条件となっている。

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Allergan はWatsonによるActavis、ActavisによるAllerganと、二度にわたる買収で、いずれも買収された会社の社名を新社名にしている。

本社を税率の低いアイルランドに移すため、Pfizerが買収したが、米国の新たな税制では本社移転による恩恵がなくなり、断念した。
最近、Carl Icahnが同社の株を大量に取得したとされる。

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