日本政府、Brexit で英国に警告

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英主要メディアは9月5日、英国のEU離脱決定をめぐり、日系企業に関税や通関手続きなど新たな負担がかからないよう求めた日本政府の要望書について、「日本が警告の砲弾を放った」などと大きく報じた。

日本政府は9月2日にBrexit に伴う対応を検討する関係省庁会議を首相官邸で開き、1) 現行の関税率や通関手続きの維持、2) 外資参入にかかる基本政策の維持、3) 英・EU間の規制、基準の維持――などを柱とする要望事項をまとめた。
文書は9月2日付で外交ルートを通じて英政府とEUに伝達し、9月5日の日英首脳会談でもあらためて意向を伝えたもよう。

文書は、"Japan's Message to the United Kingdom and the European Union" というタイトルで、要約 1ページ、本文4ページ、英国及びEU宛の要望書10ページの合計15ページに及ぶ。
  全文:www.mofa.go.jp/files/000185466.pdf

要約は次のとおり。

開かれた欧州の維持がアジアを含む世界にとっての関心事である。

不確実性が経済にとって大問題で、post Brexit がどうなるのか、はっきり分かるような「予測可能性」が確保されることを望む。そのためには、暫定期間の設定を含めた交渉の段取りや制度変更時の移行・周知期間を含め、透明性の高い離脱交渉が必要である。

日本の多くの企業が英国で活動しているが、以下の要望(詳細添付)を日本政府に出している。

追加の関税や手続きを必要としない貿易の維持
投資に拘束を受けないこと
欧州でのサービスや金融取引がスムースに行える環境の維持
必要なスキルを有する労働力の確保
英国とEU間の調和のとれた規則や基準

日本政府は英国とEUがこれらの要請をフルに留意し、これらに応え、現在のビジネス環境を維持し、急激な変化の影響を緩和し、魅力的な進出先であり続けることを望む。

日本は、Brexit の交渉プロセスが世界経済に悪影響を与えずにスムースに進められるよう、協力する。

文書では、欧州では日本企業は44万人の雇用を行い、多くの企業が英国に集まっていること、2015年の欧州向け直接投資の約半分が英国向けであることなどを示し、上記の要請が満たされない場合、英国から大陸欧州に移転する可能性があることを示唆している。

日本は「労働者の移動の自由」と「EU諸国との従来通りの貿易」 を求めているが、後者については英国も望んでいるものであるのに対し、Brexit のそもそもの目的が「移民の流入の阻止」である。
日本の要請は、国民投票の結果を否定する内政干渉らえられる恐れがある。

Guardian 紙は、要望書が「メイ首相のチームに大きな困難をもたらした」と報道、他のEU非加盟国から同様の要望が相次ぎ、離脱交渉の手足が縛られることを、英首相官邸が恐れていると論じた。

大衆紙 Daily Express は「破滅の恐怖をあおる日本、離脱後の英国の混乱を警告」(Doom-mongering Japan issues warning of TURMOIL in Britain post-Brexit during G20 )と扇情的な見出しを掲げた。同紙電子版には「日本製品はボイコットだ」「英国から出て行け」「脅しには屈しない」などと反日感情をむき出しにした読者のコメントが相次いだ。
「日本が英国から出て行けば、ボイコットする日本製品がなくなってしまうな」というのもある。

9月5日の英議会での質疑でも国会議員が相次いで取り上げた。デービスEU離脱担当相は答弁で「我々は単に、日本政府に明らかに関心があるような、限られた数の会社や銀行の利益を見ているのではない。経済全体の利益を見ており、(離脱案作りには)少し時間がかかる」と述べた。(朝日新聞)





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