小泉元首相の外国特派員協会での記者会見

| コメント(0)

小泉純一郎元首相が9月7日、東京の外国特派員協会で記者会見した。

録画 https://www.youtube.com/watch?v=BhNGZItxWOM&feature=youtu.be

テーマは、①「トモダチ作戦被害者支援基金」と、②原発反対の考え方について。

途中、通訳が「変人」を「Strange person」と訳したのに対し、「私はstrangeでも eccentric でもない、常識人だと思っている。ある人からもっと適切な訳があると教えてもらった」と述べた。それは「Extraordinary」であると。

①「トモダチ作戦被害者支援基金」

2011年の福島第一原発事故の際に「トモダチ作戦」に参加して被爆し、被害を受けた兵士が多数いることを本年3月に知り、5月にSan Diegoに行き、被害を受けた兵士と面会した。

放射能は海の方に流れていたが、兵士は防護服を着ずに作業をした。
当時のビデオでは空母に戻ったときに、汚染が分かり、「すぐ服を脱ぎ、シャワーを浴びろ」との声が入っている。しかし、シャワーは汚染された海水から塩分を除いただけのもの。

作戦終了後に鼻血や下血など体の調子が悪くなり病院で診察を受けたが、「放射能の影響によるものとは断定できない」とされた。

これまでに7人が亡くなり、300人(最近では400人)も病気で苦しんでいる兵士が出てきている。

兵士は法律上、米政府を訴えられないので、東電やGEを訴えている。
(東京電力側に10億ドルの救済基金設立を求める集団訴訟を起こしている。)

これはほっとけないなと思った。

外務省北米局長は事情は正確に把握しており、帰国後報告したが、同情はするが、政府としては何も出来ないということであった。

米側も放射能被害と「断定できない」との立場であった。

しかし、頑健な兵士が病気になっており、常識的には放射能の被害ではないか。

そこで「トモダチ作戦被害者支援基金」を7月2日に立ち上げた。目標は来年3月末までに1億円。
建築家の安藤忠雄氏の協力で8月に大阪で講演会をし、会費1万円で1300人が集まった。


②原発問題

何故、総理をやめて、原発反対になったのか? 

総理のときは、専門家の意見を信じていた。
  「安全」、「コストは一番安い」、「CO2を出さない Clean energy」である。
..... 資源のない日本に原発は必要。

311で勉強し直し、上記3点が全て嘘と分かった。嘘を信じたのを恥じた。
日本では、「過ちては改むるに憚ること勿れ」「過ちて改めざる、是を過ちと謂う」

スリーマイル島、チェルノブイリの大事故があった。
チェルノブイリの後、日本の専門家は、「日本の原発は違う。絶対安全なのだ。多重防護されている」とした。
ところが311が起こった。

「絶対安全はない」、しかし原発は事故が起これば飛行機事故などよりずっと大きな被害を与える。

東電も電力会社も、「安全第一」ではなく「収益第一」「経営第一」だ。防護が必要との声があったが、多重防護で大丈夫としてきた。

事故直後に原発40年を決めたが、今は変わった。申請すれば政府は認める。

原発が動かないと、利益が出ないから。

3年前に原発ゼロは無責任と言われた。直ちにゼロにすると、冷房、暖房が動かず、大変だと。
ところが2年間ゼロでも、最近の2~3基だけの稼動でも、全く支障がない。ゼロでやっていける。

原発が安いというのは嘘。最も高い。
東電は賠償で政府の支援を求めた。5兆円が9兆円になった。最近はもっと支援をといっている。
廃炉でも政府のカネが必要。

「もんじゅ」など30年経っても動かない。維持費だけで1日5000万円。1兆2000億円かかっている。

原発は日本でやってはいけない産業だ。ピンチはチャンス、自然エネルギーで更なる発展ができる。


Q&A

1.安倍首相の評価

 原発については全く意見が違うが、(2期目は)総理としてはかなり頑張っている。

2.安倍首相の「福島 under-control 」 発言について

 これは嘘。全くコントロールされていない。
 凍土壁での地下水コントロールも出来ていない。
 よくあんなことが言えるなと不思議。

 田中委員長が川内原発について、新しい基準に合格したといったが、その後、「安全だとは申し上げない」といった。
 政府は日本の原発は世界で最も厳しい安全基準だといっている。
 アメリカと比べてみろ。

3. 反原発の進め方

 政党としてでなく、国民運動としたい。 

4.原発の対案は?

 太陽光で原発1基100万KWを賄うには山手線内の土地全てがいると言われた。昨年1年で政府支援なしで 2700万KWがやれた。
 あと風力も地熱もある。

 原発なしでもやっていける。

-------------

なお、8月26日の深夜、NHKで生放送された討論番組『解説スタジアム』が反響を呼んでいる。

タイトルは「どこに向かう 日本の原子力政策」。

NHKによる番組紹介

今月、愛媛県の伊方原発3号機が再稼働するなど、原発再稼働の動きが相次いでいます。また「核燃料サイクル」が行き詰まりを見せるなど、日本の原子力政策の根幹が問われています。日本の原子力政策をどう考えていくか。解説委員が生放送で徹底討論します。

NHKの7人の主要解説委員が、日本の原発政策を多角的に議論するという番組だが、解説委員7人のうち6人が政府や原子力規制委員会、そして電力会社の問題点を徹底的に批判した。

コメントする

月別 アーカイブ