原発コストを新電力も負担、政府案

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入閣中は原発反対を封印していた河野太郎代議士が大臣を辞め、再び原発問題を取り上げている。

「ごまめの歯ぎしり」2016年9月11日号では「エネ庁の陰謀」、続いて 9月17日号では「報道ステーションは白旗を上げたけれど」を書いている。

  「エネ庁の陰謀

この夏、エネ庁の中を怪文書が駆け回っている。

その怪文書を持って、議員会館の中をせっせと回る官僚もいる。

それをすっぱ抜いたのが9月8日付けの毎日新聞の記事だ。

東京電力の福島第一原発の廃炉費用や事故の賠償費用に、そのほかの原発の廃炉費用を合計すると8.5兆円(正確には8.3兆円)になり、その負担を電力会社だけでなく、新電力にも求めようというスキームが描かれている。


事故から5年、国民ももはや原発のことはそれほど気にしていない、声を上げない、というのが今のエネ庁の考えだ。

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  「報道ステーションは白旗を上げたけれど

報道ステーションを見た人は、違和感を感じただろう。

経産省が原発のコストを新電力に負担させることを検討しているというニュースの中で、経産大臣の「今は検討していません」というコメントをキャスターがおうむ返しにして締めくくった。
本当は、「原発のコストが安いというのは嘘だったのか、という批判は避けられそうもない」というのが締めのコメントではなかったのか。


もし、あなたがこれはおかしいと思うならば、ぜひ、与党である自民党、公明党の国会議員に働きかけてほしい。肝心なのは、この問題に絞って抗議すること。

毎日新聞の記事(9月8日)、報道ステーション(9月16日)の報道の概要は下記の通り。

政府が原発の廃炉や東京電力福島第1原発事故の賠償を進めるため、大手電力会社だけでなく、新電力にも費用負担を求める方向で調整に入ったことが分かった。

現行制度では、
福島第1原発事故の賠償
は、東電が国の認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」から必要な資金の交付を受け、原発事業者が負担金を同機構に納付する。


原発の廃炉
は、原発を保有する大手電力が自社の電気料金から費用を回収することになっている。

しかし、賠償額はどんどん膨れ上がっている。東電が6月末時点で見積もっている要賠償額は、約6兆5600億円と、すでに前提としていた5兆4000億円を大きく上回る。
エネ庁では総額7兆円と想定し、今後3兆円が必要としている。

福島第一の廃炉費用も必要である。
東電の数土文夫会長は廃炉費用について「今のところ見えていない」とし、「負債が青天井では経営再建に有効な手が打てない」と、国に追加支援を求めている。
エネ庁では4兆円と想定している。

更に他の原発についても、廃炉費用の引当が不足している。

廃炉に必要な見積額は合計で2兆8200億円。
このうち2013年3月末時点で解体引当金として積んでいたのは1兆5800億円で、その後も積み増ししているものの、解体費の上ぶれも含めると1.3兆円が不足するが、電力全面自由化で将来、徴収が進まない可能性もある。


これにより、今後追加で必要となる費用は8.3兆円と想定される。

電力自由化で大手電力から新電力に契約を切り替える消費者が増えた場合、原発を持つ電力会社だけでは巨額の費用を賄えなくなる可能性がある。

このため、エネ庁資料「電力システム改革の貫徹」では、この8.3兆円を、全国の送電線の使用料金に上乗せする形で、太陽光発電などすべての電力会社の電力料に上乗せして回収しようというもの。東京電力管内では毎月180円、それ以外の地域で毎月60円を想定している。

エネ庁資料

金額

標準家庭
 月別電気代
総額 関東負担 その他負担 関東 その他
福島第一 

          

賠償 不足分 3兆円 1兆円 2兆円
廃炉費用 4兆円 4兆円
その他原発 廃炉費用不足  0.8兆円 0.2兆円 0.6兆円
解体費上ぶれ 0.5兆円 0.2兆円 0.3兆円
合計 8.3兆円 5.4兆円 2.9兆円 180円 60円


新電力に切り替えた消費者も、過去には大手電力が原発で発電した電力を使っており、「過去に大手電力の電気を利用した需要家(消費者)と、電力自由化後の需要家の間に負担の公平性が損なわれてはならない」というのが新電力にも負担させる理由という。

世耕経産大臣はこの政府案について「現段階では検討していない」と述べ、今後の可能性については「発言通り」として明言を避けた。

しかし経産省は9月20日、これに関連する二つの委員会の設置を決めた。

 「東京電力改革・1F 問題委員会」 東電の経営問題や福島第一原発(1F)の廃炉費用の負担を議論

 「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」 卸電力市場活性化や全国の原発の廃炉費用負担を検討

経産省は両委員会の議論を受けて、来年の通常国会に電気事業法改正案の提出を目指す。


毎日新聞は原発をめぐる政府の主張と問題点を以下の通り、まとめている。

 <政府>

・電力自由化で大手電力は廃炉や福島原発事故の費用を回収できなくなる恐れがある。
・新電力に切り替えた消費者も、過去には大手電力が原発で発電した電力を使っている。
・原発の廃炉や事故の賠償を円滑に進めるには、新電力を含むすべての契約者に負担を求めるべきだ。

 <消費者や有識者>

・廃炉や賠償の費用は大手電力が経営努力で電気料金から回収すべきだ。
廃炉や賠償の費用を入れても原発は安いと言っていた主張と矛盾するのではないか。
・原発のない新電力や沖縄県の契約者が費用を負担するのはおかしい。大手電力の救済ではないか。

河野議員のブログ発言

「もし、あなたがこれはおかしいと思うならば、ぜひ、与党である自民党、公明党の国会議員に働きかけてほしい。」




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