既報の通り、9月14日に出光の一部地域の販売店が創業家と出光興産経営陣へ再度話し合いを進めるよう促す具申書を送付した。
業界再編については「かねてより渇望するところ」とし、今回の合併案を「出光精神溢れる壮挙」としている。
2016/9/22 出光販売店の具申書
出光の系列給油所は全国に約3700カ所あり、約800の事業者が運営しているが、出光販売店でつくる全国組織「全国出光会」の理事会が9月26日に開催された。
16人の理事らから現状を憂慮する声が次々と上がり、合併を滞りなく進めるべきだとの意見でまとまった。
7月11日以降中断している経営陣と創業家の協議再開を求めることも決定した。
創業家に対して「全国出光会の思い」と題する書簡を送り、同会と対話の場を設けることも要請する。
しかし、販売店の動きを察知した創業家は9月23日付で合併反対の意思を示す出光昭介名誉会長名の書簡を全国の販売店各社に送付し、かたくなな姿勢を崩していない。
「出光会会員の皆様へ」という書簡の概要は次の通り。
貴重なご意見をいただき、皆様に大変御心配をお掛けしていることを改めて深く認識させていただいた。
この度のことは、決して「出光家の乱」ではない。大株主としての創業家の責任として、合併は出光興産の今後の経営にとって決して正しい選択ではないと判断し、合併と、その前段階となる既に500~600億円の含み損を抱えている昭和シェルの株式の取得契約に反対している。Shell からの購入株数 125,261千株、購入価格 @1,350 (2015/7/30の発表前は@1,100前後)
現在の株価 @900 程度
含み損 約560億円上場以来、一切口出しをせずにやってきた。
しかし、合併は、会社の在り方を根本的に、かつ、長期的に後戻りできない形で変える重大なこと。
株主としてしっかり意見を言うことが私の責任であると決意した。
昭和シェルは外国資本の会社で、外資流の合理主義に徹した会社で、組織率は低いが、先鋭な政治活動を行う労働組合がある。合併後は、出光家に次ぐ大株主はサウジアラムコ社になる。
両極端にある企業が対等合併して、一つの会社として合併の成果とされる500億円を達成するには、多大な困難と大変なエネルギーと時間を必要とする。
製油所や販売店の統廃合、人員削減など2つの異質な会社が一つの会社となることの具体的な難しさを考えるべきだ。
企業の数を減らして、競争をなくそうという再編成論は、消費者の利益も害し、結局は会社の競争力を弱める。それからでは後戻りできない。
石油危機の今こそ、合併に逃げ込むのではなく、創業時の理念にたち帰って、危機と正面から取り組み、販売シェアを回復し、事業内容を多角化するなど一丸となって頑張ることが大事である。
このように激しく変化する時代の中で、外国資本に支配されない唯一の民族系元売りグループとして誇り高く出光興産グループが頑張ってゆくことを株主として心から願っている。
出光創業家はホームページをつくり、情報を公開している。
「出光家からの情報を直接かつ速やかにご提供し、 出光家の考え、認識、代理人弁護士による法律上・制度上のご説明及び解釈などを、 正確にご認識、ご理解頂きたく、今般、本サイトを開設いたしました」としている。
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