柏崎刈羽原発の再稼働計画見直し

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東京電力は10月13日、原子力規制委員会の柏崎刈羽原発6、7号機の審査会合で、重大事故時の対応拠点「緊急時対策所」について、3号機内に設置する当初の方針を取りやめ、6、7号機に隣接する5号機に設置することを明らかにした。

大規模地震が起きると、3号機のある荒浜側の防潮堤の地盤が液状化し、壊れる可能性があると判断した。
液状化対策に1年以上かかり、審査が長期化するおそれがあることなどから、移転を決めた。

柏崎刈羽の6、7号機の審査は終盤を迎えていたが、緊急時対策所の被ばく対策や事故時の作業員の対応など一部の審査をやり直すことになり、審査が長期化する可能性が出てきた。
規制委の更田・委員長代理は「審査はある種のやり直し」と述べた。

原発 運転開始 型式

能力(万KW)

再稼動申請
1号機 1985/9/18 BWR(Mark-) 110.0 未 
2号機 1990/9/28 BWR(Mark-改)
〈沸騰水型〉
110.0
3号機 1993/8/11 110.0
4号機 1994/8/11 110.0
5号機 1990/4/10 110.0
6号機 1996/11/7 ABWR
〈改良型沸騰水型〉
135.6

2013/9/27

7号機 1997/7/2 135.6

福島第1原発と同じ沸騰水型で、審査が順調に進めば沸騰水型としては初めて審査に合格するとみられていた。


緊急時対策所は、一次冷却系統に係わる施設の損壊その他の異常が発生した場合や重大事故等が発生した場合に、中央制御室以外の場所から指示・連絡を行うために設置する。

重大事故等に対処する要員がとどまることができるよう、遮断・換気について考慮した設計にするとともに、代替交流電源設備からの給電が可能なものとする。
免震重要棟内の緊急時対策所が使用できない場合でも、重大事故等に対処できる設計とする。

東電はこれまで、3号機内に設置することで進めてきた。


規制委は、2007年の新潟県中越沖地震で敷地が液状化したため、液状化の影響を詳しく調べるよう東電に指示していた。

東電が 3号機がある荒浜側防潮堤の地盤を精査したところ、液状化で防潮堤の安全性を保てず、津波が流入してくる可能性があること が分かった。

柏崎刈羽原発は敷地が低い 1〜4号機(海抜 5メートル)と、比較的高い 5〜7号機(同 12メートル)に分かれ るが、同原発に到来する津波の高さを最大 7.6メートルと想定しており、防潮堤が壊れれば1〜4号機側は浸水が避けられない。

このため、東電は 5号機建屋の3階に変更することとした。

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毎日新聞 (10/14)


6、7号機に近くなることで、事故対応の作業員がすぐに現場に駆け付けられる利点がある一方、待機中の作業員の被ばく対策が求められる。
6号機原子炉から約130メートルで、6号機の事故にここで対応した場合、作業員の被ばく線量が 1週間で 70ミリシーベルトと非常に高くなる。

また、1〜4号機側にはほかにも、事故対応拠点の免震重要棟外部電源を取るための開閉所など多くの設備があり、これらが水没して使えなくなる可能性がある。

東電は 1〜4号機についても将来的に再稼働を目指す考えだが、液状化対策には大規模工事が必要で、審査申請は当面困難になるとみられる。

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原子力規制委員会は、液状化の影響を調べるよう東電に指示し、面目を保った。

そのまま3号機に緊急時対策所をつくり、地震が起これば大変なことになっていた恐れがある。

しかし、2007年の新潟県中越沖地震で敷地が液状化したのに、東電が審査の前に、その影響を調べ、対策を講じていなかったのは、どうしてなのか?

福島原発では、もっと大きな津波の可能性があることを認識しながら放置していたが、それと同じなのだろうか。


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新潟県知事選は10月16日に投開票され、再稼働に慎重姿勢で、無所属新人の医師の米山隆一氏が初当選した。

「これまで皆さんと約束してきた通り、命と暮らしが守れない現状での再稼働は認められないと主張していく」と述べた。

原発事故の検証や、重大事故時の避難計画の整備が不十分だとして、現状では再稼働は認められないとしている。

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