Samsung と Apple のデザイン特許訴訟で米最高裁のヒアリング

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Samsung と Apple のデザイン特許訴訟で、10月11日に連邦最高裁でヒアリングが行われた。

最高裁が意匠に関する訴訟を取り扱ったのは、1800年代にスプーンの取っ手、カーペット、鞍、ラグなどに関するものが最後で、その後は扱っていない。

ヒアリングは Samsung に有利な方向で進んだ。

判決は来年初頭に出ると見られている。1887年に制定された規定を変更して新しいルールを決め、下級審で再度審議させるとみられる。

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2011年4月にAppleが米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に、Samsung がスマートフォン「Galaxy S」やタブレット端末「Galaxy Tab」などでAppleの知的財産権を侵害したとして提訴した。

裁判は延々と続いた。1次評決で陪審員団が1,050百万ドルの賠償金を算定したが、その後、裁判長による減額があり、2015年5月18日に特許訴訟を専門に扱う米連邦巡回区控訴裁判所 (CAFC) は、SamsungがAppleの複数の特許を侵害したと認定したが、賠償の一部は無効と判断した。これを除くと548百万ドルとなる。

これを受け、2015年12月3日に、Samusung が Appleに548百万ドルの損害賠償金を払うことで両社が合意し、12月14日に支払が行われた。

しかし、Samsung は2015年12月14日、米最高裁判所に上告し、上記の548百万ドルのうちのデザイン特許に対応する399百万ドルについて、意匠に関する権利がどの範囲まで適用されるのか、またどのような賠償を請求できるのかについて指針を示すことを求めた。


対象となるのは次のデザイン特許3件。

iPhone Front (D'677) iPhone Back (D'087) iPhone Home Screen (D'305)

2015/12/30 iPhone と iPad の特許をめぐるApple、Samsungとの特許係争、続く 


最高裁が上訴を受理した場合、最高裁の最終判断がハイテク業界や消費者の購入できるすべてのガジェット類に波及的な影響を及ぼす可能性があり、注目されたが、最高裁は2016年3月21日、これを受理した。

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問題になっているのは、損害賠償額の399百万ドルが、Apple のデザイン特許を侵害しているとみなされたSamsung のスマートフォン11機種の利益全体であることである。

米国の裁判所で認定される特許権侵害訴訟の損害賠償額が日本と比べてはるかに高額である理由は、懲罰的賠償制度のほか、損害賠償額の算定方法が、製品の全体の価値(Entire Market Value:EMV)に基づくものであったが、最近では、全体の価値に対する発明の寄与分(Apportionment) を考慮することにより、損害賠償額が従前よりも低く算定されるようになっている。

しかし、デザイン特許に関しては、1887年に制定された特許法289条の規定を根拠に、依然としてEVMルールに基づく算定が現在も行われている。

第289条 意匠特許の侵害に対する追加的救済

(2)特許意匠若しくは実質的に周じ意匠が利用されている製造物品を販売した者、若しくは販売のために展示した者は、$250を下回らない総利益を特許権者に支払う責任を負い、当該回収は当事者に対する管轄権を有する合衆国地方裁判所において行われる。

Samsung はこの all-profits rule をスマートフォンのような複雑で多くの部品からなる製品に適用するのはフェアでないと主張した。

ヒアリングでのやり取りは下記の通り。

Appleは、「デザイン特許の保護は創造性とイノベーションを高めると信じる。このため我々のアイディアを盗む者から我々を守るのだ」と述べた。iPhone 開発に多額の投資をしており、その成功は独特の外観に直接結びついているとした。

Samsung は次のように主張した。 

スマートフォンは20万以上の特許技術を含んでいるためスマートなのだ。
しかし、289条は外観のほんの一部のデザイン特許の保有者にスマートフォンの利益全体を与えている。こんなのはおかしい。

下級審では、発明の寄与分(Apportionment) の計算は289条に反するとしたが、289条の規定はこのような製品に適用するには時代遅れである。

政府参考人がフォルクスワーゲンの自動車 Beetle の例を出したため、Samuel Alito判事が意見を述べた。

外観だけで車を買うとは思えない。価格が10倍だったら? 2マイル/ガロンしか走れなかったら? 50マイルごとに故障したら? 買うはずがない。

これに対し、Apple側は、独特のVW Beetleの形状をみて買う人がおれば、その外観をコピーしようとする理由になる、と陪審団が結論付けるだろうと述べた。

John Roberts長官もAppleの主張を理解できないようで、次のように述べた。

デザイン特許はスマホの外観だけのもので、内部のチップやワイヤー等々とは関係ないのだな。それなら、スマホの利益全部というのはおかしいのでは。

Samsung やGoogle やFacebookが加盟するComputer & Communications Industry Association (Apple は非加盟)の代表も下級審の決定を覆すことを希望した。


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米連邦控訴裁判所は10月7日、別のApple と Samsung との特許侵害訴訟で、連邦巡回控訴裁判所の2月26日の判決を覆し、Samsung に1億1960万ドルの賠償金支払を命じる判決を下した。

2月時点では、「Samsung は主張される特許を侵害してはいない」との判決を下したが、今回、8対3で、「特許侵害の十分な根拠がある」とした。

なお、2月時点では、Appleにも 158.4千ドルの賠償金支払命令が下されたが、今回もこれを認めた。

詳細は下記の通り。

発端 時期 2014年3月
原告 Apple & Samsung
内容 Appleは別の5つの特許侵害で、
Samsungは自社の2つの特許侵害で、相互を訴え
判決 2014年5月2日 連邦地裁の陪審
 Samsungに119.6百万ドルの賠償金支払命令
 (Appleの22億ドルの請求に対し)
 Appleに158.4千ドルの賠償金支払命令
 (Samsungによる620万ドルの請求に対し)
2016/1/23 ブログ Samsung 製品に特許侵害で販売差し止め命令 
2016/2 判決 Samsungに119.6百万ドルの賠償金支払命令 取り消し
Appleに158.4千ドルの賠償金支払命令 支持
今回の判決 Samsungに119.6百万ドルの賠償金支払命令 (前回の取り消し命令を取り消し)
Appleに158.4千ドルの賠償金支払命令 (前回の支払命令を支持)

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