ロッテの経営刷新策

| コメント(0)

ロッテグループの辛東彬(重光昭夫)会長は10月25日、ソウルのロッテホテルで記者会見を開き、グループの経営不正疑惑をめぐる検察の捜査で指摘された問題に関し国民に謝罪した後、経営刷新策を説明した。

ソウル中央地検は10月19日、創業者の重光武雄(辛格浩)、長男の重光宏之(辛東主)、次男の昭夫(辛東彬)の各氏を脱税や背任などの罪で一括して在宅起訴 した。
重光昭夫会長の出国禁止は解除された。

2016/9/23 ロッテグループの危機


概要は次のとおり。

 順法経営委員会の設置 

不正を防止するための組織として、外部の専門家を交えた「順法経営委員会」を会長直属で新設する。

 企業支配構造の改善

ホテルロッテの上場

韓国ロッテグループの事実上の持株会社のホテルロッテは7月中の株式上場を計画していたが、捜査を受け、無期延期している。
捜査終了を受け、新規株式公開計画を再始動させ、持株会社への転換で所有構造の簡素化と透明性向上を目指す

循環出資を完全に解消し、できるだけ速やかに持株会社体制に移行する。

グループの政策本部の縮小と系列会社の責任・権限強化

 成果中心ではない、質的な成長に向けた目標の設定

「2020年までに売上高200兆ウォン(約18兆円)を達成し、アジアトップ10に入る」という目標を見直す。
外形的な成長にだけ集中した結果、企業の社会的な責任を果たすという点が不足していた。

 積極的な投資・雇用計画

来年から5年間で40兆ウォン(約3兆7000億円)の投資と7万人の新規雇用を行う。
3年間で1万人の非正規雇用の正社員転換を進める。


日本経済新聞のインタビューでは、「日本での役職(ロッテホールディングスの副会長や球団のオーナー代行)を続けるつもりだ」と述べた。

日本で製菓事業を手掛けるロッテについては、「引き続き上場させる方向で考えている」とした。

赤字が続いているロッテ球団の売却の可能性については「100%ない」と強調した。



付記

日本のロッテホールディングスは10月26日に取締役会を開き、同社副会長である重光昭夫氏の代表職の遂行に問題がないかどうかを議論、その上で、同氏の続投を決議した。

重光昭夫氏はこの席で、在宅起訴に至った経緯や起訴内容などを詳しく説明し、身柄を拘束されていないため経営に支障がないこと、無罪推定の原則に基づき三審まで裁判を受けてようやく有罪か無罪かを問えるということを説いたとされる。取締役会は3時間近く行われた。

ロッテの関係者は「予想に反して取締役会が長引いたが、代表職の遂行に問題がないという方向に結論が出た」と伝えた。


コメントする

月別 アーカイブ