ロシアのRosneft など、インドのEssar Oil を買収

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ロシア国営石油大手のRosneft などは、インド大手財閥 Essar Group から石油子会社 Essar Oil Ltd. を買収することで最終合意した。

Essar Oil は、石油換算で埋蔵量17億バレルの石油・ガス田を持ち、インド西部グジャラート州に年2千万トン(日量 405千バレル)の処理能力を持つ石油精製所を保有するほか、2700カ所の給油所も展開する。

Rosneft は買収により、インドの川上(製油所)から川下(給油所)までを握り、ロシアの原油の供給先として巨大なインド市場を確保する。

Rosneft とEssar Group は2015年7月に、Rosneft が Essar Oilの株式の49%を取得することで基本合意し、詳細を詰めてきた。
(このとき、Rosneft は Essar Oil に日量20万バレルの原油を10年間供給する契約に調印している。)

10月15~16日にインド南部で開かれたBRICS首脳会議出席のためロシアのプーチン大統領が訪印したのを機に、最終合意を発表した。

合意事項は次の通り。

Essar Group はEssar Oil Ltd.の株式の98%を米ドル換算 109億ドルで売却する。(株式時価評価は 58億ドル)
インド第二の精油所であるVadinar精油所はこれに含まれる。

うち 49%はRosneft に売却する。
同じく 49%は欧州の資源会社のTrafiguraとロシアの投資グループのUnited Capital Partnersのコンソーシアムに売却する。
(コンソーシアムの49%はTrafigura、同じく49 %はUnited Capital Partners、残り2%はEssar Group が出資する)

このほか、Vadinar精油所のための港湾ターミナルと発電所、及び約2700箇所の給油所の対価として20億ドルを支払う。

支払合計額は129億ドルとなる。

インドの資産家 Ruia 兄弟が支配するEssar Group は鉄鋼や電力、小売り、不動産事業などを手がける大手財閥だが、過去の積極的な拡大戦略が裏目に出て、グループ全体で 1兆ルピー(約1兆5500億円)規模の負債を抱えて苦しんでいる。今回の売却により、収益の大半は債務の返済に充てられ、債務を50%余り削減する。

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Essar Oil の株式の49%は欧州の資源会社のTrafiguraとロシアの投資グループのUnited Capital Partnersのコンソーシアムが買収する。

 Trafigura

1993年設立の資源会社で、主な事業は原油、石油製品、非鉄鉱物、バルク鉱物の供給・貯蔵・供給を行う。

石油製品の貯蔵・流通を担うPuma Energy の48.8%や、ターミナル・倉庫・輸送の Impala Terminals、自身のMining Group、物流会社DT Group の50%、Galena Asset Management などを持ち、これらが事業を支えている。

Vitol Group とGlencore に次ぎ 世界第三位の石油商社であるTrafigura にとって、今回の買収はエネルギー分野で最大の取引で、Rosneft の関係を深めるものである。

同社は非上場で経営陣が株主であるが、持株や自社株を担保に銀行借り入れで買収費用を賄う。

同社は実質的に精油所の24%をコントロールすることとなり、インドの石油精製市場に初めて参入する。(5年前に試み、失敗した)

 United Capital Partners

2006年設立のロシアの投資グループで、ロシア国内及び国際市場で成長が見込める私企業や流動化証券に投資している。
主な投資先は、日用品、小売、金融サービス、インターネット技術、ハイテクマテリアル、重機械、石油・ガス、石油化学など。

現在、約35億ドルを運用している。

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