三井物産、パナソニックヘルスケアホールディングスに出資

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三井物産は11月18日、パナソニックヘルスケアホールディングスへ参画することを決定したと発表した。

三井物産の出資額は約541億円で、筆頭株主のKohlberg Kravis Roberts (KKR) が運用するファンドから株式の22%を取得する。

パナソニックヘルスケアは糖尿病患者向けの血糖値測定器を中心とした医療機器の開発・製造・販売を行っており、2016年1月には、糖尿病ケア・ソリューション提供企業大手であるBayer Aktiengesellschaft グループの糖尿病ケア事業を買収し(新会社名 Ascensia Diabetes Care)、世界125ヶ国に亘る販売網を確保している。

2015/6/15 パナソニック ヘルスケア、Bayerの血糖測定器事業を買収

三井物産はパートナーとなるKKR及びパナソニックと協働で、世界中の糖尿病患者に革新的な技術を提供し、同社の企業価値向上を図る。

糖尿病患者は2015年の4億2000万人から2040年には6億4000万人に増加することが予想され、とりわけアジア新興国では糖尿病患者数が全世界の約60%を占めるまで急増すると予想されている。

糖尿病は網膜症・腎症・神経障害等の合併症を併発する恐れがあり、継続的な症状モニタリングと治療が必要となる。

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パナソニックヘルスケアの前身は松下寿電子工業で、松下電器産業の完全子会社になった後、パナソニック四国エレクトロニクスに改称した。

2007年に松下電器の改組で、松下電器の社内分社である「ヘルスケア社」をパナソニック四国に統合した。

その後、ヘルスケア事業のさらなる拡大に向け、ヘルスケア事業としての事業領域別体制に再編、2010年にパナソニックヘルスケアに改称した。

パナソニックは2013年9月27日、パナソニック ヘルスケアの全株式をKKRの関連投資ファンドが実質的に全株を保有するPHCホールディングスに1650億円で譲渡する契約を締結することを決めた 。

2014年3月31日に手続きが完了、パナソニックはPHCの20%を引き受け、パナソニック ヘルスケアの20%を実質保持 した。

2013/9/11 パナソニック のヘルスケア事業売却、米KKR に優先交渉権 

今回の決定で、パナソニックヘルスケアの出資比率は次ぎのとおりとなる。

現在 今後
KKR 80% 58%
パナソニック 20% 20%
三井物産 22%


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三井物産は、メディカル・ヘルスケア事業を注力領域の一つと位置付け ている。

メディカル分野では製薬から流通・販売支援に至るバリューチェーン全体を視野に、医薬品の治験支援・製造支援・販売支援事業に参画、
ヘルスケア分野では医療機関運営・経営支援、ヘルスケア関連情報サービスなどの幅広い事業を展開している。

中でも、医薬品製造支援(CMO)では40年以上にわたる事業経験を有し、医薬原料の供給等を通じ国内外の製薬企業との緊密な関係を築いて いる。

同社のヘルスケア・サービス事業本部の概要は下記の通り。

ヘルスケア分野 病院・クリニック事業およびその周辺事業、医療情報サービス事業、医療経営支援事業
医薬分野 医薬品の開発支援事業、製造支援(CMO)事業および製造・販売事業
サービス分野 国内外におけるコントラクトフードサービス(給食)事業、ユニフォームレンタル事業、ファシリティマネジメント事業、人材派遣・紹介事業、教育事業および、その他消費者向けサービス事業

同社は最近、日経に広告を掲載している。(一部編集)


三井物産の最近の投資は次ぎの通り。

1) 日本マイクロバイオファーマ

2011年7月にキリンから100%子会社のメルシャンの医薬・化学品事業 を買収し、日本マイクロバイオファーマに改称した。

キリンは2010年12月の株式交換でメルシャンを完全子会社化したが、メルシャンのワイン・酒類事業に集中することとし、これを売却した。

メルシャンで長年培ってきた発酵技術にバイオテクノロジーを付加した独自の製造技術により、医薬品(原薬、中間体)の製造・受託製造・販売をしている他、同技術を活用したファイン・スペシャリティ領域の化学品の製造・販売を行ってい る。

中国では、同社が34%出資する深圳万楽薬業有限公司を通じて、制癌剤を中心とする製品の製造・販売を展開してい る。

1990年にメルシャンが、中国深圳製薬(現 国薬集団一致薬業)、萬聨行有限公司(香港)との共同出資 で設立した。

2012年1月 に、東レが20%出資している。



2)IHH Healthcare Berhad(IHH社)

マレーシアに本部を置くアジア最大の民間医療企業で、アジア、中東欧・中東・北アフリカ地域での病院経営、運営受託、及び医科系教育機関経営等のヘルスケア関連事業 を行っている。シンガポール、ブルネイ、中国、香港、マケドニア、マレーシア、インド、イラク、トルコ、ベトナム、UAEにおいて民間病院を運営し、25,000以上を雇用している。


当初はマレーシアの政府系投資会社カザナ・ナショナルが全額出資していたが、三井物産が2011年に
総額924億円を投じ、30%を取得した。

その後、上場し、2016年9月 時点では三井物産は20.1%を出資していたが、9月27日 に一部を売却、現在の出資は18.1%となっている。



3) Columbia Asia

三井物産 は2016年7月、アジア最大手の中間所得層向け病院グループColumbia Asia Healthcare (マレーシア)及び Columbia Asia Hospitals (インド) の持株会社である米国 International Columbia U.S. LLCの第三者割当増資引受と同社複数株主からの株式取得を決定した。約1億100万米ドルを出資して、コロンビアアジアグループの病院経営に参画 する。

コロンビアアジアグループは1994年に設立され、現在はマレーシア (馬)、インド(印)、インドネシア(・ベトナム (越)の4か国で合計27病院・1クリニックを運営している。
主に中間所得層を対象に、外来と簡易な入院治療を提供しており、高度医療を手掛ける公立・民間病院とは補完関係にある。

4) MIMSグループ

三井物産は2015年10月、㈱エス・エム・エス と共同で、アジア・オセアニア地域で医薬情報サービス事業を展開するMIMSグループを買収する契約を、英国のAXIO Data Hedgeco Limited 及び個人株主6名と締結した。出資額は総額約2億5,000万米ドルで、出資比率は三井物産40%、エス・エム・エス60%となる。

MIMSグループは1963年に創業し、アジア・オセアニア地域12カ国と香港で、医薬情報サービスを書籍、ウェブサイト、モバイルアプリ等の複数の媒体で提供してい る。

パートナーの㈱エス・エム・エスは、介護・医療・シニアビジネス における最適な情報インフラストラクチャーの創造を理念とし、2003年に経済産業省からの後援を受けて設立された。

5) DaVita Care

三井物産は2016年5月、米国最大手の透析事業会社DaVita Healthcare Partners社 、マレーシア政府系投資ファンドKhazanah Nasional Berhad と共に、アジア透析事業へ参画することで合意した。

三井物産は第三者割当増資引き受けを通じてDaVita傘下で在シンガポールのDaVita Care Pte. Ltd.の株式20%を取得する。

DaVitaは米国を中心としてグローバルに2,369の透析クリニックを運営している。

アジア新興国では、人口増と糖尿病・高血圧等の生活習慣病の蔓延により透析治療を必要とする末期腎不全患者が急増する中、透析クリニックが大幅に不足しているため未治療の患者が多く需給ギャップが拡大している。


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