原子力規制委員会は11月9日の定例会合で、九州電力が再稼働を目指す玄海原発 3、4号機について新規制基準に適合したことを示す審査書案をまとめた。1カ月間の国民意見公募後に正式決定する。
プルサーマル発電(3号機)での適合は関西電力高浜原発3、4号機、四国電力伊方原発3号機に次いで4基目になる。
設備の詳細設計などさらに2つの審査や使用前検査を経る必要があるため、再稼働は来年度以降になる見通し。
運転開始 | 型式 | 能力 万KW |
申請 | 状況 | |
九州電力 玄海 |
① 1975/10/15 | PWR | 55.9 | 2015/3/18 九電が廃炉決定 | |
② 1981/3/30 | PWR | 55.9 | 未 | ||
③ 1994/3/18 | PWR プルサーマル |
118.0 | 2013/7/12 | 2015/3/20地裁判決 プルサーマル差し止め認めず | |
④ 1997/7/25 | PWR | 118.0 |
佐賀地裁は2015年3月、「MOX燃料の危険性は認められない」などとして、原告側の請求を棄却した。MOX燃料などについては「原子力規制委員会の基準を満たし安全」と判断。燃料とそれを覆う管の間に隙間ができる「ギャップ再開」現象が起き、重大事故を招く恐れについては「ギャップ再開やそれによる燃料溶融などの危険は認められない」とした。
使用済みMOX燃料を原発内の貯蔵施設で数百年にわたり長期保存することでの環境汚染の可能性については、「政府は中間貯蔵施設の建設促進を閣議決定している」などとして退けた。
審査合格は5原発10基となるが、3基は40年超のため稼動には長期の工事が必要、高浜の2基は地裁仮処分で停止、川内1号機は定期検査で停止中で、稼働中は川内2号機と伊方3号機のみ。
関西電力 | 高浜 | 3*、4*号機 | 大津地裁の仮処分決定で停止中 | 2016/6/17 大津地裁、高浜原発の運転停止の仮処分の執行停止の申し立てを却下 | |
1、2号機 | 40年超 | 再稼働は2019年10月以降 |
2016/6/22 関電高浜1、2号機の20年延長、規制委が認可 2016/11/16 美浜 規制委が認可 |
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美浜 | 3号機 | 工事完了は2020年3月の予定 | |||
四国電力 | 伊方 | 3号機* | |||
九州電力 | 川内 | 1、2号機 | 1号機定期検査で停止中 | 2号機は2016年12月に定期検査で停止 | |
玄海 | 3*、4号機 | 今回 「適合」 |
* プルサーマル
玄海原発周辺には大きな地震を起こす活断層が少なく、想定される最大の地震の揺れは620ガル、津波の高さは約6メートルと他原発に比べて小さい。
なお、制委の前委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授は、大飯原発、高浜原発とともに、玄海原発の基準地震動の過小評価を問題にしている。
しかし、下記の問題がある。
1) 避難計画
避難計画策定が必要な半径30キロ圏に17の離島があり、約2万人が住む。
佐賀、福岡、長崎の3県が連携して実施された原子力防災訓練では、広域避難の難しさが浮き彫りになった。
島外への避難が困難なうえ、島内の避難施設の放射線防護対策も進んでいない。
原発が立地する佐賀県と玄海町の同意が必要だが、知事は原発の安全性を十分に確認した上で、再稼働について容認する考え。
そのために、原発に詳しい大学研究者や地元関係者らでつくる第三者委員会や、県内20市町の首長ら多くの意見を聞くという。
2) 使用済み核燃料の扱い
使用済み核燃料は、青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場が本格稼働できていないため、再稼働すれば建屋内の「使用済み燃料プール」で一時的に貯蔵することとなるが、玄海原発の状況は下記の通りで、再稼動した場合、およそ5年で燃料プールが満杯となる。
貯蔵量 管理容量 3号機 578体 789体 4号機 1,080体 1,243体
九州電力では、貯蔵量を増やすため、使用済み核燃料どうしを貯蔵する間隔を狭めることで貯蔵量を増やすリラッキング(reracking)という増強工事を2010年に国に申請したが、今も許可は出ていない。
このため、使用済み核燃料を金属製の容器に移して建屋で保管し空気で冷やす「乾式貯蔵」の導入を検討しているが、保管場所が決まっていないし、長期保存につながるため、地元の反対の恐れがある。
他に東京電力の柏崎刈羽原発と日本原子力発電の東海第二原発が使用済み核燃料の貯蔵能力の余力が極めて少ない。
2013/12/3 使用済み核燃料の処理
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