Braskemは11月3日、同社のバイオポリエチレン"I'm Green" を原料に、3D プリンターを使って国際宇宙ステーションで部品や工具が製造されていることを明らかにした。
米国で無重力3Dプリンター(The Zero-G Printer)を開発するMade In Space社とBraskem の協力によるもので、これにより宇宙飛行士はバイオPEを使って必要な部品や工具を宇宙で製造できることになった。
部品や工具のデジタル図面を地球から送信し、そのデータを3Dプリンターに入れて製造するもので、時間とコストを大幅に節減できる。 故障の場合にも送られてきた図面データで現地で製造できるため、宇宙ステーションでの生活や作業に大きく貢献する。
Made In Space社は2010年に設立された世界最初の宇宙での製造会社である。
The Zero-G PrinterはMade In Space社の主力製品で、NASAのマーシャル宇宙飛行センターと共同開発された無重力空間で使える3Dプリンターである。
試作段階では、微小重力が及ぼす影響や今後の宇宙事業への可能性などが吟味され、初号機が2014年に宇宙へ送られ 、良好な性能を示した。有毒ガスやナノ粒子をろ過する環境コントロール機能や地球からでも出来る遠隔操作機能が内蔵されており、ロケット発射時にかかる重力にも負けない耐久性を備えている。
国際宇宙センターの米国部分の運用を委託されているNPO法人 CASIS (Center for the Advancement of Science in Space ) のサポートを受けている。
実用機は2016年4月に国際宇宙センターに設置された。Additive Manufacturing Facility (AMF) と呼ばれる。(Additive Manufacturing は、材料を付加しながら製造していく造形方法)
最初に製造されたのはレンチで、実験棟などのメンテナンスに利用する。
レンチの頭には宇宙空間で利用するために、固定用のクリップが用意されているなど工夫が凝らしてある。
今回、野菜栽培の散水システムのパイプのコネクターが製造された。
Made In Space社は2016年2月に、NASAやNorthrop Grumman、Oceaneering Space Systemsと共同でArchinaut計画をスタートした。
宇宙ステーションの外の真空空間で、ロボットアームを操作して 3Dプリンターで大型構造物をつくるもので、3Dプリンターの設計と製造はMade In Space社が、ロボットアームの製造はOceaneering Space Systemsが、システムのメンテナンスはNorthrop Grummanが担当する。
NASAではこれらの無重力3Dプリンターシステムは将来の火星ミッションに欠くことのできないものと考えている。
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Braskemは2007年10月、サトウキビベースのエタノールを原料にした年産200千トンのPEプラント建設を発表した。
2007/11/5 Braskem、サトウキビからHDPEを製造
同社は2010年9月、Rio Grande do Sul 州の Triunfo Petrochemical Complexで サトウキビからのバイオエタノールを原料とするグリーンエチレン年産 20万トンとHDPE及びLDPEをあわせて年間20万トンのポリエチレンの生産を開始した。
同社は2013年5月21日、Green LDPE 30千トンの増設を発表した。2014年1月から生産を開始した。
Tetra Pakは2009年11月、Braskemのグリーンプラスチック(PE)を試用する契約を締結している。
2009/12/1 テトラパック、ブラスケムのグリーンプラスチックを使用
2010年末のバイオPE製造開始を控え、Braskemは2010年上半期に登録商標 "I'm Green" を採用した。
バイオPEはこの商標で販売されている。
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