三菱商事など日本勢、カナダのシェールガス開発から撤退

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三菱商事は11月2日、連結子会社 Cordova Gas Resources Ltd.の全株式を10月31日付けでPenn West Petroleum Ltd.に譲渡したと発表した。

同社は、Cordova Gas Resourcesを通じて、西カナダからのLNG輸出プロジェクト向けの原料ガス手配を念頭に、ブリティッシュ・コロンビア州北東部に位置するCordovaシェールガスの権益を有していたPenn Westより同鉱区の50%権益を2010年に取得した。

2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画

発表には示されていないが、中部電力・東京ガス・大阪ガス・JOGMECがこれに参加するため、Cordova Gas Resourcesに出資した。
三菱商事が70%出資となり、4社が7.5%ずつ出資した。(2016年3月時点の三菱商事の出資比率は67.5%となっている)

2014年に日本側持分で日量約 5億立方フィート(LNG 換算で約350万トン/年)の生産量を目指した。
北米市場で外販するが、日本向け輸出も考えた。

2011/5/14 中部電力ほか、カナダシェールガス開発プロジェクトに参加

その後、2011年10月よりシェールガスの生産を開始し、現在は日量30百万立方フィート前後(LNG換算で約22万トン/年)を生産している。
現在の生産量は当初の目標(日本側持分でLNG換算で約350万トン/年)からは大幅減となっている。

三菱商事は2015年3月決算で本計画で38,309百万円の減損損失を計上している。

今回、西カナダの天然ガス価格の見通しや将来的な Cordova事業の経済性について検討した結果、Penn Westに譲渡することが最適と判断した。

三菱商事は2008年6月に、米国でガスマーケティング事業を展開しているCIMA Energy Ltdの持分34%を同社の個人パートナーから取得した。
Cordovaのガスも
CIMA Energyなどを通じて、北米市場で販売するが、市場までの距離が遠く、輸送コストがかかる。

LNGでの輸出も、日本が輸入するアジアや中東産の原油価格スライドのLNGの価格が下がっており、採算に懸念がある。

試算ではGulf Coastからの輸入(運賃3$)は現在の輸入価格よりはるかに高い。カナダ西海岸(運賃 1.3$程度)からでも同様である。

今回の発表では Cordova Gas Resourcesは三菱商事の100%子会社となっている。
恐らく
、中部電力・東京ガス・大阪ガス・JOGMECと協議のうえ、三菱商事が各社から持分を買い取った上で、Penn West Petroleumに売却したと思われる。

譲渡価額については、相手先との守秘義務を踏まえ、開示していないが、6月30日時点の財務諸表に基づき、相手先との交渉により決定した公正価額としている。

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