大陽日酸は11月22日、子会社のTNSC (Australia) Pty Ltd を通じて、豪州の産業ガス・LPG 会社である Supagas Holding Pty Ltd を買収する売買契約を締結したと発表した。
買収額は約250億円とみられる。契約手続きの完了は12月中旬を予定している。
同社は、2015年7 月に Renegade Gas Pty Ltd を約150億円で買収し、豪州産業ガス市場への本格参入を開始した。
Renegade Gasの事業拠点はニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州などの豪州東海岸を中心としており、大陽日酸では豪州における更なる事業地域の拡大を計画していた。
Supagas 社を買収することで、未進出であったビクトリア州や西オーストラリア州等を含めた豪州全土での販売ネットワークが完成する。
産業ガスに限れば、傘下の2社合わせて市場の約10%を占めており、今後はLPGの販売も含めてさらに市場シェアを拡大させる。
オーストラリア市場での競合相手は、独産業ガス大手 Linde とフランスの同業 Air Liquide 。
両社の概要は下記の通り。
社名 | Renegade Gas Pty Ltd | Supagas Holding Pty Ltd |
事業 | LPG 及び各種産業ガスの充填・販売、関連機器の販売、レンタル | LPG、各種産業ガス(酸素、窒素、アルゴン、炭酸ガス等)、関連機器の販売 LPG及び産業ガス充填設備の他、空気分離装置や炭酸ガス等の各種ガス製造設備を保有 |
場所 | ニューサウスウェールズ州シドニー近郊 | 豪州ビクトリア州メルボルン近郊 |
旧株主 | Mark Michalowsky 90% Paul Berman 10% |
オーナー一族の個人及び資産管理会社 100% |
新株主 |
TNSC (Australia) Pty Ltd 100% |
|
設立 | 1997 年 | 1968 年 |
TNSC (Australia) の株主は次のとおり。
Renegade 買収 → Supagas 買収 大陽日酸 85% 約 93% Renegade経営者
Mark Michalowsky 90%
Paul Berman 10%15% 約 5% SupagasのManaging Director
Debra Hillー 約 2%
同社は2014年5月発表の新中期経営計画で、グローバル規模でM&Aを積極的に推進するとし、米国・アジアなど既に進出している地域に加えて、未進出国(オセアニア・中東・南米・欧州)に対しても積極的に市場参入を図り、事業規模拡大を加速するとしており、今回の買収もその一環である。
大陽日酸は2016年5月に米国子会社のMatheson Tri-Gas, Inc. を通じて、フランスのAir Liquide と米同業のAirgas の資産を買収している。
2015年にAir Liquide がAirgas を買収することで合意したが、FTC が一部設備の売却を条件にこれを承認したのに伴うもの。
買収資産の内容は下記の通り。残る2基は他社に売却。
Air Liquide Airgas セパレートガス事業(東部、中西部の計 18 基) 12箇所 4箇所 亜酸化窒素事業(東部、西部に各1箇所) 2箇所 液化炭酸ガスプラント ドライアイスプラントを併設
(某社と交渉中)2基 ドライアイスプラントを併設 2基 単独 2基 パッケージガス事業(アラスカ州にある営業所) 3箇所
2015/11/24 産業ガス世界大手のAir Liquide、米同業のAirgas を買収
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