米FRB、1年ぶり利上げ

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米連邦準備理事会(FRB)は12月13-14日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりに利上げを決めた。

政策金利であるFederal Fund 金利(FF金利)の誘導目標を0.25%引き上げ、0.50~0.75%とした。新たな政策金利は15日から適用する。

利上げはイエレン議長ら投票メンバー10人の全員一致で決めた。

さらに今後、2017年に3回、2018年に3回の利上げを見込んだ。

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米国は、金融危機に対応するため、2008年11月~2010年6月に量的緩和策 QE1(Quantiative Easing Program-1 )を実施し、1兆7250億ドルが供給された。

米国の景気回復ペースの鈍化を受けて、2010年11月~2011年6月に実施されたQE2では6000億ドルが供給された。

更に、労働市場を刺激して景気を回復させるため、2012年9月にQE3 を開始し、以降、毎月850億ドルの債券買い入れを行ってきた。

2014年1月には、債券買い入れ規模を減らし、量的緩和(QE3)の縮小を継続する方針を決めた。

2014/2/4 米国の量的緩和縮小とその影響 

その後、毎月の債券買い入れを月850億ドルから順次減少させ、2014年11月には買い入れをゼロとした。

そして、2015年12月16日に、米経済は2007-09年の金融危機による打撃を概ね克服したとの認識 に立ち、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を 0%~0.25% から0.25%~0.50% に引き上げ、2016年中に4回の利上げを予想した。

今後の利上げの条件としては、「雇用情勢」と「物価」を挙げた。

2015/12/17 米国、利上げ

当初、2016年に4回の利上げを想定したが、5回開催された連邦公開市場委員会ではいずれも見送られた。

8月26日にJanet Yellen FRB議長がJackson Hole Economic Policy Symposium での講演で、「米雇用が改善し、追加利上げの条件は整ってきた」と述べたことで米国の利上げ観測が強まった。

2016/8/29 米国の利上げ観測強まる

9月は利上げを見送ったが、年内の追加利上げに意欲を示した。3人の委員が利上げを主張した。

11月 は利上げの条件は整ってきたとしつつも、米大統領選挙の結果などを見極める考えを示唆した。8名がこれに賛成し、2名が利上げを主張した。

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今回の声明文では「労働環境と物価上昇率の実績と見通しに鑑みて、政策金利を引き上げると決断した」と強調した。

米国の2016年第3四半期のGDPは、速報では年率 +2.9% であったが、確定値は 3.2% となった。

付記 12/22 発表の最終確定値は更にアップし 3.5%


米労働省が12月2日に発表した11月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が 178千人増となった。失業率は4.6%と、約9年ぶりの水準に改善した。

消費者物価指数の動きは下記の通り。11月実績は前年比+1.7%に上昇した。

 

FRBでは、過去のエネルギー・輸入価格の低下による一時的な影響が消え、労働市場がさらに力強さを増すにつれ、中期的に2%に向かって上昇すると予測する。

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