公取委、出光興産による昭和シェル石油の株式取得と JXホールディングスによる東燃ゼネラル石油の株式取得を承認 

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公取委は、出光興産による昭和シェル石油の株式取得と JXホールディングスによる東燃ゼネラル石油の株式取得について、そのままでは競争を実質的に制限するとみなした。

しかし、当事会社が申し出た問題解消措置を講じることを前提とすれば、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと認め、12月19日に排除措置命令を行わない旨の通知を行い、本件審査を終了した。

1 出光統合:出光が昭和シェルの議決権をShellから20%を超えて取得することを計画しているもの。

2014/12/22 出光興産、昭和シェル買収へ 

2 JX統合:JXホールディングスが、東燃ゼネラルの議決権を50%を超えて取得することを計画しているもの。

付記 両社は12月21日、それぞれ臨時株主総会を開き、議案とした両社の経営統合案を賛成多数で承認した。

2016/9/2  JXホールディングスと東燃ゼネラル石油、経営統合の最終合意

出光統合については、本日の別記事参照。

JXと東燃は2017年4月1日の統合に向け、準備を進める。

2016/9/2  JXホールディングスと東燃ゼネラル石油、経営統合の最終合意


公取委の判断と、当時会社が申し出た問題解消策は次の通り。

1) プロパン

出光が51%出資するアストモスエネルギー、JXの子会社 ENEOSグローブ、ジャパンガスエナジーと昭和シェル及び東燃ゼネラルが各25%を出資するジクシスが、それぞれLPガス元売業を行っている。

統合により、ジクシスにJXの統合会社の出光の統合会社が出資することとなる。


対策は次のとおりで、JX統合会社はジクシスから離脱、出光統合会社も支配権をなくす。

出光統合会社  昭和シェルが保有するジクシス株式について、出資比率を20%に引き下げる
           会社法上認められる権利を超えた権利を行使しない

JX統合会社  東燃ゼネラルが保有するジクシス株式全ての譲渡

いずれも、ジクシスに対する工場生産品の供給を継続する、設備の賃貸を継続する(or 基地提供を継続する)が、情報遮断措置の実施に係る措置を採る。

2) ガソリン、灯油、軽油及びA重油

いずれもシェアが高まり、
①競争事業者の数が減少すること、
②同質的な商品であり、販売条件について競争する余地が少ないこと、
③コスト構造が類似すること、
④業界紙による通知価格の掲載等により、各石油元売会社は適時に他社の通知価格の変動状況等に係る情報を入手できることから、互いの行動を高い確度で予測できるようになると考えられる事情が認められる。

【平成26年度におけるの市場シェア】

ガソリン 灯油 軽油 A重油
JX 約35% 約35% 約35% 約40%
東燃ゼネラル 約15% 約15% 約10% 約10%
昭和シェル 約15% 約15% 約15% 約15%
出光 約15% 約20% 約20% 約25%
他社 約10% 約10% 約10% 約15%
他社 0-5%
その他 0-5% 約5% 約10% 0-5%
合計 100% 100% 100% 100% 
合わない

  

  問題解消策は次の通りで、輸入の障害を取り除き、輸入をしやすくするもの。

(1) 輸入促進措置(備蓄義務の肩代わり)
油種ごとに、石油元売会社以外の事業者によって輸入される数量が内需の10%に相当する数量になるまで備蓄義務の肩代わりを行う。

(2) 輸入促進措置(不利益取扱いをしないことの確約)
当事会社は、取引先に対して、主燃油の輸入を行ったことを理由として、主燃油の販売取引において不利益を与えないことを公取委に確約し、その旨周知する。

 その他の問題解消措置(競争事業者の競争力維持のための措置)

公取委は、競争事業者とのバーター取引の解消等により、競争事業者からの競争圧力が減少するおそれがある旨の問題点を指摘した。
これに対し、競争事業者の競争力を維持するため、当事会社からは現行のバーター取引の維持等に係る措置の申出を受けた。

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