財務省、中国など5カ国を特恵関税の対象から除外

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財務省は11月24日の関税・外国為替等審議会で、特恵関税制度の対象国の要件を見直し、2019年度に実施する方針を示した。

現在は「高所得国」を対象外としているが、これを、3年連続で「高中所得国」で、かつその国の輸出額が世界の輸出額の1%以上の国も対象外とする。

新規定では、高中所得国に属している中国とメキシコ、ブラジル、タイ、マレーシアの5カ国が適用対象外となる。

EU とカナダ も同様の制度改正を行っている。

この報道を受け、中国商務部の報道官は24日の定例記者会見で、次のように述べた。

報道に注意している。中国は今なお世界最大の発展途上国だ。中国の経済規模は世界2位だが、一人あたり平均GDP、都市部・農村部の発展、社会福祉などでは先進国とはまだ大きな開きがあり、近代化実現への道のりは依然として遠い。

中日はともに世界の貿易大国であり、お互いに重要な経済貿易パートナーであり、両国経済は相互補完性が高く、協力の発展は双方の利益に合致しており、双方がともに努力し、同じ目標に向かって進み、中日経済貿易関係の健全な発展を後押しし、グローバル経済の成長に貢献することを願う。

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特恵関税制度は、開発途上国を原産地とする特定の輸入品について、一般の関税率よりも低い税率を適用して、開発途上国の輸出所得の増大、工業化の促進を図り、経済発展を支援しようとするもので、日本では1971年8月から実施している。


対象国については、

農水産品については、一部の品目を対象としており、その関税率は品目ごとに異なる。
鉱工業品については、一部の例外を除く全ての品目を対象としており、その関税率は原則として無税だが、一部有税のものがある。

後発開発途上国(LDC)からの輸入に関しては、特別特恵関税制度で、ほぼ全ての品目に対して無税が適用される。

現在の特恵関税の対象国は、国際復興開発銀行(世銀)が公表する統計において、「高所得国」に分類される国又は地域以外となっており、現在は138カ国と5地域が対象で、そのうち47カ国が特別特恵受益国となっている。

2016年度の世銀統計では、2014年時点の1人当たり国民総所得により分類している。

高所得国 $ 12,736 以上
高中所得国 $ 4,125 超 $12,736未満
低中所得国 $ 1,045 超 $4,125 未満
低所得国 $ 1,045 以下
現在のルールでは、前年までの3か年の世銀統計において、連続して「高所得国」に分類された国は 特恵対象から除外することとなっている。(特恵卒業国)


今回、ウルグアイ、セントキッツ・ネーヴィスセントクリストファー・ネーヴィス、チリの3カ国がこれに該当し、2017年度に卒業する。

過去には、EU加盟国は、上記の条件に関係なく、EU加盟に伴って対象から外れた。

今回、現在の要件に加え、3年連続で、①「高中所得国」以上に該当し、かつ、②世界の総輸出額に占める当該国の輸出額の割合が1%以上で国を対象外とする。
実施は2019年度が適当としている。

背景には、特恵制度の適用実績では、便益を享受している国が一部の高中所得国に偏在していることがある。

2015年度の一般特恵輸入額実績
   高中所得国     1兆320億円
   低中所得&低所得国  390億円

このなかで中国は、日本の輸入額の4分の1を占める。
2015年度に優遇税率を適用されたものの6割が中国からの輸入品。

そのなかで、中国など5カ国は急速な経済成長で輸出競争力を上げており、輸出額が世界の輸出額の1%以上を占めている。

EUとカナダが同様の改正を行っている。

特恵除外 改正時期 特恵対象国
EU 「3年連続で高中所得国に該当」 2014年1月 17785
カナダ 「2年連続で高中所得国に該当」、かつ、
「2年連続で世界の総輸出額の1%以上」
2015年1月 175103
日本 「3年連続で高中所得国に該当」、かつ、
「3年連続で世界の総輸出額の1%以上」
2019年4月 143138



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