東京電力と中部電力の共同事業会社 JERA は12月8日、米国産LNG 約7万トンを2017年1月初旬に輸入すると発表した。
JERAは、燃料上流・調達から発電まで火力発電事業のサプライチェーン全体に係る包括的なアライアンスのために2015年4月30日に設立された。
東京電力フュエル&パワーと中部電力が折半出資している。
事業:
燃料上流事業、燃料調達事業
燃料輸送事業、燃料トレーディング事業
国内火力発電所の新設・リプレース事業
海外発電・エネルギーインフラ事業両社の既存火力発電事業のJERAへの統合は、2017年春頃判断するとしている。
2015/4/20 東京電力と中部電力、共同事業会社JERAを設立
LNGの調達先はCheniere Energyで、同社が運営するルイジアナ州のSabine Pass LNGプロジェクトで生産されたLNGを購入した。
12月7日に LNG船 Oak Spirit に積み込まれた。2017年1月初旬に、中部電力のLNG基地に到着、上越火力発電所で使用される。
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Cheniere Energyは2016年2月にブラジル向けに米国のLNGの初輸出を行った。
2016/2/27 米国のLNGの初輸出
2010年9月に米国がFTAを締結している国(将来締結した国も含む)に限定して輸出許可が出されたが、同社は、多国間での自由貿易協定を目指すWTO加盟国へのガス輸出を禁止することが正当かどうかの判断を政府に求め、エネルギー省は2011年5月、同社に条件付きですべての貿易相手国への輸出を認めた。
同社はSabine Pass に年産450万トンの液化設備 7系列(合計年産 3,150万トン)を建設中で、第1、第2系列が既に完成している。
このうち、1~5系列分(能力合計2,250万トン)について、既に6社との間で年 1,975万トンの20年間の長期販売契約を締結している。
契約概要は下記の通り。
相手先 年間数量
万トン固定費
$/MM Btu製造系列 完成時期 BG Group(英) 350 2.25 第1系列 2016/4-5 200 3.00 第2, 3, 4 系列 GasNatural(スペイン) 350 2.49 第2系列 2016/8 Kogas(韓国) 350 3.00 第3系列 2017/4 Gail (インド) 350 3.00 第4系列 2017/8 Total (仏) 200 3.00 第5系列 2019/8 Centrica (British Gas) 175 3.00 第5系列 合計 1,975 FOB価格は、原料ガスコスト(Henry Hub 渡し市況 x 115%)+固定費(ガス化費用など)。
15%は天然ガスのトレーダーとしてのマージン。
第1、第2系列合計900万トンのうち、BGが350万トン+α 、GasNatural が350万トンの長期契約を締結しており、残りはCheniere Marketingが、長期契約ベースではなく、スポットで販売する。
今回のJERAの購入はこの分である。今回の購入はスポットのため上記の価格フォーミュラは適用されない。
しかし、このベースでの日本着価格は次のようになる。(10月のHenry Hub天然ガス価格に15%の口銭を乗せ、加工賃3ドル、運賃3ドルとした)
現在の価格では日本の輸入LNG価格より割高となるが、日本の輸入価格は原油価格スライドが中心で、原油価格の上昇で、今後10ドル近くまで戻る可能性はあり、その場合、米国産LNGも競争力を持つ。
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