OPEC、8年ぶり減産合意 

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OPECは11月30日にウィーンの本部で開いた総会で、8年ぶり(国別)の減産で合意した。

総会では9月28日のアルジェリアでの臨時総会で合意した日量3,250万~3,300万バレルの下限である3,250万バレルに減産することで加盟国がまとまった。
2017年1月1日から実施し、実行をチェックするためのHigh-level Monitoring Committeeの設置を決めた。

発表文では「OPEC14カ国の生産枠を3,250万バレルとする」としているが、報道されている国別枠の合計では32,682千バレルで、現状からは1,164千バレルの減産となる。 (「現状」は新生産枠と減産量から逆算したもので、10月の外部ソースの実績とは一致しない。)

当初は全加盟国に減産協力を求めるサウジと、減産の適用除外を求めるイランが対立していた。また、政情不安によって生産量が一時的に落ち込んだリビアやナイジェリアも生産量の回復を目指していた。

今回、アルジェリアの仲介で、イランへの譲歩に難色を示してきたサウジが軟化し、下記の調整をすることで合意に達した。

政情不安などで生産量を落としているナイジェリアとリビアは減産の適用を免れた。

昨年、
OPECに再加盟したインドネシア は、石油の純輸入国であることから減産への参加を見送り、加盟を一時停止した。

イランはかねて、米欧の経済制裁前の生産量である日量400万バレルへの回復を主張してきた。
今回の合意では、現状の生産量を9万バレル上回る380万バレル弱の生産量を割り当てた。

これ以外の加盟10カ国は現状から4.6%の減産となる。
当初はイランなどの例外措置の分をサウジが引き受けると見られていたが、そうはなっていない。

OPECでは、生産調整に協力する姿勢を示すロシアなどの非加盟国と12月上旬に協議する 。

非加盟国の合計で60万バレルの減産を求める考えで、非加盟国の参加を減産実施の条件とする。
OPEC議長国カタールのサダ・エネルギー相は総会後の記者会見で、「ロシアは30万バレルの減産に応じる」と述べ、他の非加盟国にも減産への参加を呼びかける。

今回、約120万バレルの減産が決まったが、新しい生産枠は2016年の第1四半期の生産量より多く、たいした減産ではない。
原油市場の需給は2017年に均衡に向かう
見通しだが、シェールオイルが増産する可能性が高く、高価格が続く可能性は少ない。

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OPEC発表の生産実績(外部ソース)と報道による国別の減産量と新しい生産枠は下記の通りとなる。

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OPEC生産枠の推移は下記の通り。(千バレル/日)

2007/2 2007/11 2008/1 2008/9 2008/11 2009/1 2012/1 以降
Algeria 794 1,357 1,357 1,357 1,286






Iraq
 含まず

Iraq
 含む

Iran 3,788 3,817 3,817 3,817 3,618
Kuwait 2,065 2,531 2,531 2,531 2,399
Libya 1,371 1,712 1,712 1,712 1,623
Nigeria 2,123 2,163 2,163 2,163 2,050
Qatar 663 828 828 828 785
Saudi 8,399 8,943 8,943 8,943 8,477
UAE 2,257 2,567 2,567 2,567 2,433
Venezuela 2,970 2,470 2,470 2,470 2,341
Angola     ー     ー 1,900 1,900 1,801
Equador     ー     ー 520 520 493
Iraq (ー) (ー) (ー) (ー) (ー) (ー)
Indonesia 1,370 865 865

離  脱

2015再加盟
Gabon

離   脱

2016再加盟
Total 25,800 27,253 29,673 28,808  27,300 24,845 30,000

枠なし

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