WHOは12月23日、西アフリカを中心に流行したエボラ出血熱について、カナダ政府が開発したワクチンが予防に高い効果を示したと発表した。
昨年の臨床試験で効果が確認できており、WHOは「致死率の高さで知られるエボラ熱の感染を防ぐ最初のワクチンだ」として早期の実用化に期待を示している。
データは12月22日付のThe Lancet で報告された。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)32621-6/fulltext
このワクチンはPublic Health Agency of Canadaが最初に開発した rVSV-EBOV で、NewLink Geneticsの100%子会社のBioProtection Systemsが独占実施権を得た。
フェース1の安全試験実施に当たり、国防総省の国防脅威削減局(DTRA) と Walter Reed 陸軍研究所 (WRAIR)と協力している。
BioProtection Systemsは8月にDTRAから臨床試験に先立つ追加の毒性試験目的で100万ドルの資金提供を受けている。
米 Merckは2014年11月24日、NewLink Geneticsとの間で rVSV-EBOV について研究、開発、製造、販売のグローバルの独占実施権を受けるライセンス契約を締結したと発表した。
Merk は2015年7月31日、WHO等が進める臨床試験の中間結果で、上記ワクチンが予防に100%の有効性を持つことが確認されたと発表した。
2014/10/29 エボラ出血熱ワクチンの開発進む
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rVSV-EBOVの臨床試験はWHOがギニアの保健省、国境なき医師団、ノルウェー保健省その他の協力を得てギニアで実施した。
2015年に11,841人でテストを行ったが、ワクチンを接種した5,837人は、誰もエボラにかからなかった。逆にワクチン接種をしなかったグループでは23人がエボラにかかった。
これにより、rVSV-EBOVが予防に高い効果を持つと判断した。
現在、子供やエイズ患者などへのワクチンの安全性についてさらなる研究を行っている。
エボラは1976年に最初に見つかったが、2013-2016年の西アフリカでの大流行で11,300人以上が死亡し、ワクチンの必要性が叫ばれた。
富士フイルムグループの富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン® 錠200mg」:一般名 ファビピラビル(favipiravir) も、エボラ出血熱に罹患した患者の治療のため、使用された。
2014/9/27 富士フィルム、エボラ出血熱患者に「アビガン」提供
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