今回の株式売却は、ロシアの財政赤字穴埋めに向けた民営化の一環。
Financial Timesは、取引は「ウクライナ問題での Rosneftに対する金融および技術制裁にもかかわらず実行された。制裁は暗々裏にロシアの石油生産者の株式の売却に外国企業が参加することを阻むものだった」 としている。
Glencore とQatar Investment Authorityは取得する株式を均等に保有する。
Rosneft にはすでにBPが19.75%を出資している。
BPは2012年に、BPとロシアの投資家グループAlfa-Acces-Renova の合弁のロシアの石油会社 TNK-BP の持分(50%)をRosneft に譲渡し、現金171億ドルとRosneft の株式 12.84% を取得、同時に、ロシア政府からRosneft 株式 5.66%を48億ドルで買収した。
BPは既にRosneft 株式 1.25%を保有しており、この取引で合計19.75%を保有することとなった。2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収
Rosneft は現在、日量 約500万バレルの原油を生産する。契約の一環として、Glencoreは今後5年間、Rosnfet から日量 22万バレルの追加の供給を受け、トレーディング事業を拡大する。
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今回の Rosneft 株の売却はロシア政府最大の株売却となる。
ロシア政府は原油価格の下落で財政赤字に悩んでいる。
ロシア政府は今年初め、大規模な民営化を実施すると発表した。
計画には、政府が保有する石油企業のRosneft の株式69.50%のうちの19.5% とバシコルトスタン共和国にある国営大手石油会社 Bashneft の持株50.08% や大手銀行「BTV」およびダイヤモンド生産のAlrosaの株式の売却がある。
Bashneft の売却時期は 2016年9~10月としていたが、政府は8月31日にこれを延期すると発表した。
理由は「石油市場の弱い現状と、民間投資家引きつけの見通しの不明瞭さ」 により、買い手がないことで、Rosneft 株 19.5%の売却についても国内外からまったく応募がきていないとされた。
Rosneft とBashneftの株式売却が出来なければ、ロシアの2017年の国家予算が狂うこととなる。
しかし、Rosneft は10月12日、Bashneft の政府保有株式 50.08% を3297億ルーブルで取得することで政府と合意した。
独立した第3者機関が算定したBashneft の企業価値 2970億ルーブルを上回ったという。
Rosneftはまた、政府が売却予定の自社の株式 19.5% の買い手がなければ、年内に手元資金で買い取ることを決めていた。
今回、原油価格の値上がりもあり、Glencore / Qatar Investment Authority が買収した。
これにより、ロシア政府は当初の予定通り、Rosneft と Bashneft の持株の売却ができ、財政赤字穴埋めに役立つこととなる。
今回の取引後の姿は下記の通り。
また、ダイヤモンドのAlrosaの株式売却 10.9%については、戦略的投資家への売却案が検討されていたが、Alrosaが民営化を希望したため、モスクワ証券取引所で売り出すこととした。
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