世耕経済産業相は1月15日、訪問先のアラブ首長国連邦(UAE)でアブダビ国営石油会社(ADNOC)のCEOと会談し、 国際石油開発帝石(INPEX)が保有するアブダビ海上のサター油田及びウムアダルク油田(合計生産量:日量約3.5万バレル)の権益期限の延長(25年間)とウムアダルク油田の権益比率増に基本合意した。
日本にとってUAEはサウジアラビアに次ぐ原油供給国で、自主開発する原油の約4割はアブダビに集中する。
経産省では次の通り述べている。
日本政府は、アブダビの首長家及び閣僚等に対し、海上油田の権益延長に向けたハイレベルでの働きかけを継続的に行ってきたほか、アブダビ側の関心が高い産業・投資、教育、医療、先端技術等、広範な分野での協力を実施してきました。今般の権益延長の基本合意は、日本企業の実力とともに、こうした日アブダビ間の幅広い関係が評価されたものと言えます。
両社はこの合意に基づき、権益期限の延長(2018/3/8→2042/12/31)及びウムアダルク油田に関するINPEXの権益比率増(現在の12%→40%) を含む詳細な条件を協議し、合意を目指す。
INPEXは2004年5月に、石油公団(当時)が保有するジャパン石油開発(JODCO)の全株式を株式交換により取得し、同社を完全子会社化した。
ジャパン石油開発はUAEのADMA鉱区に下記の権益を有しているが、これらの油田は2018年3月に期限が来るため、延長交渉を行って きた。
契約地域(鉱区) 権益比率
期限 JODCO ADNOC その他 ウムシャイフ油田 12% 60% BP 14.67%
TOTAL 13.33%今後交渉 ナスル油田 ウムルル油田 下部ザクム油田 上部ザクム油田 12% 60% ExxonMobil 28% 延長済み ウムアダルク油田 * 12% 88% 今回、延長基本合意 サター油田 40% 60% * ウムアダルク油田 については、JODCOの比率を40%にすることで交渉中。
このうち、上部ザクム油田については2014年1月20日に2041年12月31日まで延長された。
1日あたりの生産能力は全体で約55万バレルで、INPEXの取り分はその12%分の日量6万バレル以上になる。
問題は残る油田で、生産コストが安く探鉱リスクもないことから、BPやTOTALが比率拡大を狙うほか、中国も新規参入を目指しており、今後、激しい国際競争が予想される。
なお、国際石油開発帝石は2015年4月27日、アブダビ首長国の陸上のADCO鉱区の5%の参加権益を取得し、2015年1月1日からの40年間を契約期間とする利権契約を同国政府及びアブダビ国営石油会社(ADNOC)と締結したと発表した。
ADCO鉱区は同国陸上に位置する11の生産油田と4つの未開発油田から構成されており、本鉱区全体で日量約160万バレルの原油が生産されている世界でも有数の巨大油田群。
2015/4/29 国際石油開発帝石、アブダビ首長国の陸上ADCO鉱区の権益取得
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アブダビ石油(コスモ石油 64.4%、JX石油開発32.2%ほか)はアブダビ沖の油田権益を持つが、新利権協定が、2012年12月6日に発効した。
アブダビ石油が同国において操業中の既存3油田(ムバラス油田、ウルアルアンバー油田およびニーワットアルギャラン油田)の利権が今後30年にわたり更新されるとともに、既存3油田と同程度の生産規模が見込まれる既発見未開発の新鉱区(ヘイル油田)について、新たに30年の権益が確保された。
2009/1/23 アブダビ石油の油田権益 20年延長へ
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