住友ゴム工業は12月27日、英国のSports Direct International plc から、海外のDUNLOP商標権と DUNLOPブランドのスポーツ用品事業およびライセンス事業を137.5百万ドルで買収することについて合意したと発表した。
英国のDunlop Tyre は、Johm Boyd Dunlopが1888年に発明した空気入りタイヤを事業化するため、1889年に設立された。
1910年にゴムのゴルフボールの製造を開始し、スポーツ製品に進出した。
その後、いろいろな分野に進出するとともに、DUNLOPブランドのライセンス事業を行った。
住友ゴムは当初、英国のDunlop Rubber の日本工場としてスタートした。
Dunlop Tyre は1980年代前半に経営が悪化し、事業の売却を始めた。
1983 住友ゴム持株40%全てを売却 1984 英独仏6工場を住友ゴムに売却 1985 BTRがDunlop を買収
タイヤ部門は住友ゴムに売却
(他の部門も順次売却)1986 Dunlop USAを住友ゴムに売却
スポーツ部門やライセンス事業のDunlop Slazenger は1996年にPrivate Equity Fundの Cinvenが買収した。Cinvenは借入金返済のため、ゴルフボールのSlazenger Golf やMaxfli を売却した。
2004年にSports Direct International がDunlop Slazengerを買収した。
今回、住友ゴムがDunlopの商標権と事業を買収する。
(1) DUNLOP商標権 【タイヤ】 タイ、インドネシア、ブラジル、南アフリカなど86カ国で使用権者(ライセンシー)から所有権者(ライセンサー)へ 現状のビジネス(下記)については影響なし 【スポーツ/産業品】 テリトリー : 全世界 (日本・韓国・台湾はすでに商標権を所有) 商品 : 既ライセンシーがいない限り、全ての商品に拡大 (2) DUNLOPブランドのスポーツ用品事業 スポーツ用品の製造・販売 (日本・韓国・台湾はすでに商標権を所有) (3) DUNLOPブランドのライセンス事業 ウエア、シューズ、バッグ、メガネ、時計、傘等 (日本・韓国・台湾はすでに商標権を所有)
住友ゴムは当初、英国のDunlop Rubber の日本工場としてスタートしたが、1963年に住友ゴムとなり、1999年にGoodyear Tire & Rubber と全世界のタイヤ事業で提携した。
しかし、住友ゴムは2015年10月1日付でGoodyearとのアライアンスを解消した。
北米JVと「ダンロップグッドイヤータイヤ」は住友ゴムが買取り
欧州JVと「日本グッドイヤー」はGoodyear社が買取り
共同購買及び技術交流、共同開発JVは解散住友ゴムは、Goodyearから271百万USドルを受領
これに伴い、タイヤでのDunlopブランド商標使用権の帰属は下記のとおりとなり、現在に至っている。
従来 |
解消後 |
|||
住友 | Goodyear | |||
北米(米・加・メキシコ) | 米国JV | 新車用 | 日系自動車新車用 | 非日系自動車新車用 |
市販用 | 市販用 | |||
モーターサイクル | 新車用、市販用 | |||
欧州 | 欧州JV | 新車用、市販用 | ||
日本 | 日本JV | 新車用 | 新車用、市販用 | |
住友ゴム | 市販用 | |||
旧ソ連・トルコ・西アフリカ等33カ国 | 住友ゴム/ 欧州JV |
新車用、市販用 | ||
現在も今後も商標権保有 | アジア、中東、中南米、東アフリカ (インドを除く)* |
豪州・NZ |
* 今回、タイ、インドネシア、ブラジル、南アフリカなど86カ国で使用権者(ライセンシー)から所有権者(ライセンサー)へ
なおインドはRuia Group が商標権を保有(Dunlop India は1984年にJumbo Groupに売却され、2005年にRuiaが買収した。)
2015/6/8 住友ゴム、Goodyearとのアライアンスを解消
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なお、住友ゴムは本年1月5日、欧州におけるタイヤ事業拡大のため、英国のタイヤ卸・小売会社のMicheldever Tyre Services Ltd. 等を保有する持株会社 Micheldever Group Ltd. を買収すると発表した。
取得価額(有利子負債等を含む)は215百万ポンド(約312億円)。
欧州では Goodyear とのJV(住友ゴム25%出資)のGoodyear Dunlop Tires Europe でタイヤの製造・販売事業を行っていたが、提携解消でこれはGoodyear 100% となり、Dunlopブランドの権利も失った。
住友ゴムは2003年にオーツタイヤと合併し、ファルケンブランドの権利を全世界で持つ。
2015年稼働のトルコ工場を活用して、英国向けにで長寿命で滑りにくい高性能タイヤを生産し、Micheldeverの経営を再建しつつ、Falkenブランドのタイヤを拡販する。
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