Lotte Chemicals、経営不振のシンガポールのJurong Aromatics の買収検討

| コメント(0)

Lotte Chemicals は1月16日、経営不振で管財人による管理下にあり、売りに出ているシンガポールのJurong Aromaticsの買収に向け、買収意向書を提出した。既に一次審査を通過したとされる。


売却先候補にはLotteのほかに5社が挙がっているといわれており、その中には Exxon Mobil とSK Holdings が入っているとされる。
Exxon Mobil は既にシンガポールで芳香族を生産している。(ベンゼン合計49万トン、パラキシレン40万トン)

ーーー

Jurong Aromatics はシンガポールのJurong 島に建設された芳香族製品メーカーで、天然ガスコンセンデートを原料に、パラキシレン 80万トン、オルソキシレン 20万トン、ベンゼン 43.8万トン、燃料 250万トン(ナフサ 65万トンを含む)の生産能力を持つ。

2007年10月にHoneywell の100%子会社のUOP LLC がプラントの技術、基礎設計、設備購入業務に選ばれた。

2007/11/2 シンガポールで大規模芳香族プラント

当初は2011年稼働を目指したが、金融危機の影響で資金計画に狂いが生じ た。

メインの株主であったJurong Energy Corp.が 撤退し、2010年に株主構成が変更になった。

当初株主 変更後
Jurong Energy 60%
Glencore 40% 10.0%
SK Energy 30.0%
Noor Financial Investment (クウエートの投資会社)
Jiangsu Sanfangxiang Industrial Group
(中国最大のPETレジンメーカー )
25.0%
Vijay Goradia (米 Vinmar Groupのowner) 10.5%
Sridjaja family (Indonesiaの Eterindo のowner) 9.5%
EDB Investments (シンガポール政府) 5.0%
Thai KK Industry 5.1%
India Essaar Group 4.9%

2011年4月に 24億ドルのプロジェクトの資金計画が確定した。

Debt / Equity Ratio は60/40で、金融会社10行のコンソーシアムとの間で15.6億ドルのファイナンスが決まった。

BPが原料を供給し、製品を引き取る。

2013年末時点で運転資金が枯渇し、金利支払いが遅れた。貸し手の BNP Paribas やStandard Chartered、債権を持つGlencore やSK Energy、BPなどの関係者は協議を続けた。

2011年時点では2013年スタートを予定 したが、建設が遅れ、2014年9月にようやく生産を開始した。

しかし関係者の協議が行き詰まり、スタートから3か月後の2014年12月に生産を停止した。

パラキシレンは供給過剰、コンデンセート値上がりで、パラキシレン生産の利益率は縮小した。 操業停止や規模を縮小する企業も相次いだ。

BP、SK Energy、Glencore の3社は合わせて5億ドルの債権を持つが、債務の株式化を主張した。3社の出資合計は70%程度となる。
しかし、他の株主が反対した。

話し合いがつかず、Jurong Aromatics は2015年9月に管財人の管理下に置かれた。


2016年7月にJurong Aromatics は生産を再開した。GlencoreとBPが原料を供給し、製品を引き取るという委託加工方式によるもので、委託期間は1年である。

委託期間を半年残して、Jurong Aromatics は売りに出された。

コメントする

月別 アーカイブ