中国、東芝メディカル買収でキヤノンに罰金の行政処分

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中国商務省は1月4日、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの買収に関連し、キヤノン (佳能)に30万元(約500万円)の 罰金を科す「行政処罰決定書」をウェブサイトで公表した。

独占禁止法に基づく買収の事前届け出義務違反を問題とするもので、競争制限はないとして買収自体は認めている。

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キヤノンは2016年3月17日、東芝の医療機器子会社、東芝メディカルシステムズを買収する契約を結んだと発表した。
3月9日に東芝から独占交渉権を得て協議を続け、合意したもの。買収額は6655億円で3月17日に決済した。

日本の
独禁法第10条では、(株式取得で)一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、取得してはならないとしており、第10条2項で、会社が他の会社の株式取得する際、一定の基準に当たる場合には、公正取引委員会に事前に届出しなければならないとされている。


しかし、東芝は、債務超過を避けるためには、2016年3月期に売却益 5900億円を計上する必要があり、各国の審査を待っていては間に合わない。

このため、下記の手続きをとった。

A種類株(議決権あり)20株を特別目的会社(株主は東芝とキヤノンのいずれからも独立した第三者の3人)のMSホールディングに譲渡(対価 98,600円)

B種類株(議決権なし)1株と新株予約権をキヤノンに譲渡(対価 6,655億円)
B種類株には議決権はないが、組織再編などの重要事項について拒否権を行使できる条項あり)

独禁法第10条2項の規定は、具体的には、取得後の議決権の数の割合が新たに20%又は50%を超えることとなる場合となっている。
議決権は第三者のMSホールディングが保有するため、条文の上からは公取委の承認前の株式取得は認められることになる。

2016/3/18 キヤノン、東芝メディカル買収を発表、独禁法対策で奇手

東芝メディカルの議決権の対価がたった10万円で、キヤノンは議決権無しの株と新株予約権に6,655億円も払うというのは通常は考えられず、わざわざこういう手続きを取る他の理由も考えられない。また、議決権無しの株には重要事項に対する拒否権があ る。各国の承認を得れば直ちにキヤノンが議決権を100%取得する。事前に承認を得るという規定を避けるための便法であることは明白である。

公取委は6月30日、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの株式取得について、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと認められたので、排除措置命令を行わない旨の通知を行い、審査を終了したと発表した。

しかし、株式取得のスキームが、事前届出制度の趣旨を逸脱し、独占禁止法第10条第2項の規定に違反する行為につながるおそれがあることから、両者に対し異例の注意を行った。

また、今後、企業結合を計画する者が仮にこのようなスキームを採る必要があるのであれば、当該スキームの一部を実行する前に届出を行うことが求められるとした。

日本の独禁法の規定の文言上は「株式取得」にはならないが、制度の趣旨を逸脱するものであると明言しており、今後は認めないとしている。

2016/7/4 公取委、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの株式取得を承認

なお、キヤノンは12月19日、申請を行っていた各国・地域において所要の競争法規制当局のクリアランス取得が完了したため、東芝メディカルの株式取得(子会社化)を行うことを、取締役会で決議した。

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中国商務部も、キヤノンが当局に買収計画を届け出る前に、東芝側に買収代金を支払って第三者会社に議決権を移したことを問題視した。
経営危機にある東芝にできるだけ早く代金を支払うのが複雑な取引の理由であるとしている。

キヤノン広報は「異議を申し立てるかどうか社内で検討している」とコメントした。

しかし、日本では独禁法の文言上では「シロ」となったが、公取委も実質的には「クロ」とみて、異例の注意をするとともに、今後はこの手法を認めないとしている。

中国の「株式取得」の定義がどうなっているか不明だが、争って勝てる見込みはないだろう。

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