トランプ政権の通商政策報告書 

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米通商代表部(USTR)は3月1日、トランプ政権の通商政策報告書(2017 Trade Policy Agenda and 2016 Annual Report of the President of the United States on the Trade Agreements Program)を議会に提出した。


世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きが不利益になる場合は「従うことはない」と表明、国際協議よりも国内法を優先すると強調した。

各国には一段の市場開放を求め、制裁措置の発動につながる「通商法301条」の適用も検討する。

新方針は「米国第一主義」が極めて鮮明で、世界的な貿易摩擦を呼ぶ可能性がある。

内容は次の通り。

米国の貿易政策の目的は、全ての米国人にとって、より自由で、よりフェアなやり方で貿易を拡大することである。

貿易に関する行動原則は、経済成長増大、米国での職の創造、貿易相手との互恵の推進、製造ベースと防衛能力の強化、農業及びサービス産業の輸出拡大を目指すものである。

これらの目的は、多国間交渉よりも、2国間交渉で、そして目的が達成できない場合は交渉して貿易協定を改定することで、達成できると考える。

最後に、国際市場で米国の労働者、農民、牧畜業者、企業に不利益を与える不公平な貿易慣行に目をつぶるべきでない。

これらの基本原則に加え、目的を列挙している。

米国の労働者と企業が、国内市場と海外市場で、フェアに競合できること。

農業製品を含む米国からの輸出をブロックする不公平な貿易障害の打破

米国経済のすべての部門の利益を見守るバランスのとれた政策の維持

米国の知的財産の所有者が、それを利用し利益を得る完全でフェアな機会を持つこと

ダンピングや補助金による輸入品が国内産業を害することがないよう、米国の貿易法を厳密に施行

強制労働で作られた製品の輸入・販売を禁止する規定の適用

他国や、WTOのような国際機関が、米国が参加する貿易協定で、米国の権利や利益を弱めたり、義務を増やすような解釈を進めるのに抵抗する。

既存の貿易協定を、状況の変化を折り込んで改定する。

最優先事項として次の点を挙げている。

Defending Our National Sovereignty Over Trade Policy 主権の防衛

1994年に議会はUruguay Round Agreements Act を承認し、WTO参加に道を開いたが、議会は、米国がWTOの決定に必ずしも従う必要がないと明らかにしていると述べ、たとえWTO紛争解決パネルが米国敗訴を決めても、自動的に米国の法や慣行を変更するものではないとする。

トランプ政権は貿易に関し、米国の主権を守る。

Strictly Enforcing U.S. Trade Laws

トランプ政権は米国を害する不公平な貿易慣行を許さない。通商法301条は、外国にもっとmarket-friendlyな政策をとらせるテコになりうる。

Using Leverage to Open Foreign Markets

現在のWTOルールが不公平な貿易慣行を守っていると批判。

トランプ政権は、他の国が米国の生産者にフェアに互恵的に市場を開くよう、あらゆる手段を使う。

Negotiating New and Better Trade Deals

これまでの貿易協定に不満

トランプ政権は、自由でフェアな貿易を信じており、これを共有する国際パートナーとの貿易関係を強化したい。
これを進めるため、二国間交渉を中心とし、相手国にはより高いフェアネス基準を求める。

不公平な活動を行う貿易相手国にはすべての法的手段を使用する。

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新政策方針では、WTOの紛争解決手続きに「そのまま従うことはない」と明記し、国内法を優先するとした。

現在、米国が検討している「国境調整」はWTOのルールでは認められない。大統領選挙戦中にTrump 氏は「メキシコには35%、中国には45%の関税を課す」と主張したが、これも同様である。

2017/2/20 米国の国境税案

実際には関税引き上げは消費者物価のアップに直結するため、議会で議案が通る可能性は低いとされるが、この姿勢により、今後、多くの問題が発生する可能性がある。


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