昭和電工は3月6日、定時株主総会の開催通知を発表した。
3月30日の開催だが、議題は、①定款一部変更の件、②取締役選任の件、③監査役選任の件となっており、決算報告や配当決議は含まれていない。
また、同日の取締役会で、2016年12月31日を基準日とする配当を行わないことを決議した。
同社の子会社の昭光通商の決算が確定しないため、昭和電工の決算も確定せず、昭和電工の事業報告や決算書類が定時株主総会招集通知にあわせて提供できない状態にあるため としている。
決算確定後、別途開催する臨時株主総会で決算報告を行う。
また、確定決算に基づき、配当実施の判断や基準日の設定等を行い、臨時総会で剰余金の配当の決議を行う。
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昭和電工は2月13日、翌日に予定していた決算発表を延期すると発表した。3月1日には再延期を発表した。
昭和電工の子会社である昭光通商の子会社と特定の顧客との取引での売上計上に疑義が出て、精査が必要になったもの。
2016年の取引高は約60億円であるが、対象物品は当該子会社を介することなくエンドユーザーへ直送され、当該子会社は帳簿上の仕入および販売取引を行うことによって、実質的には当該子会社が、その販売先である当該特定の顧客に対して与信(商社金融)を行う取引 である。
当初の発表では、売上計上について精査が必要となったとし、その時点ではこの取引を売買ではなく、金融取引(与信行為)と認識することを前提とした会計処理を検討して いた。
しかし、その後の調査で、この取引で代金決済は行われていたものの、取引の対象となる物品の実在性への疑義(架空取引の可能性の疑い)が高まった。
この結果、この取引の詳細と、これに類似する取引がないかどうかについても調査を行う必要が生じた。
現在、昭光通商の特別調査委員会が調査中である。
付記
昭和電工は3月27日、関東財務局へ有価証券報告書の提出期限延長に係る承認申請書を提出したと発表した。
それによると、当該顧客からの協力が得られなかったものの、これまでに入手した資料および情報に基づけば、対象物品が実在しない取引である可能性が高いものと考えられる。
他方、当該会社の役職員が、対象物品が実在しない取引であったと認識していたとは認められないとの報告を受けている。原因究明にはさらに時間がかかる。
昭和電工としては、同社の決算に重要な影響を与えないと見込んでいるが、昭光通商の決算確定を待ち、決算発表を行う。
なお、同社は2月14日に、同日時点での業績予想を発表した。
売上高 6712億円 営業利益 418億円 当期純利益 110億円
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