東北電力女川原発の審査、難航

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原子力規制委員会の更田委員長代理は3月8日の定例会合で、東日本大震災の影響で原子炉建屋に多数のひびが見つかった東北電力女川原発2号機について「前例がなく、審査は技術的に極めて難しい」と指摘した。

東北電力は2018年度後半以降に2号機を再稼働する計画だが、審査に合格できるかが不透明になった。

 
運転開始 型式 能力万KW

再稼働申請

東北電力 女川 ① 1984/6/1   BWR (Mark-I) 52.4   未
② 1995/7/28 BWR (Mark-I 改) 82.5

 2013/12/27

③ 2002/1/30 BWR (Mark-I 改) 82.5   未 


女川原発は2011年3月の東日本大震災のときには1、3号機が運転中で、2号機は定期検査中だった。
東北電力は、3基ある原発のうち、安全対策の進みが早い2号機を優先させる方針で、2013年12月に再稼働申請を行った。

被災した原発としては初の申請となった。

原発の耐震設計の基準となる基準地震動を580ガルから1000ガルに、津波の想定も13.6mから23.1mに引き上げた。
(東日本大震災で、607ガルの揺れが観測された。)

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東北電力は1月17日の原子力規制委員会の安全審査会合で、審査中の女川原発2号機の原子炉建屋の壁(鉄筋コンクリート製) に、ひびが1130か所、はがれが7か所あることを明らかにした。

目視点検によるもので、ひびは全て幅1ミリ未満だが深さは測っておらず、貫通している可能性もある。はがれの総面積は約 0.03m2 だった。
放射線量が高い場所などは点検しておらず、損傷箇所はもっと多いとみられる。

ひびは揺れが大きくなる建屋上部ほど多く、3階に734カ所が集中していた。

会合では、材料に砂岩を使っている女川原発のコンクリートはひびが入りやすいことが問題視された。

また、大震災後の余震で観測された建屋下部と上部の揺れ方の違いから、建屋の3階より上部の剛性は、完成時より70%下がったとの解析結果が出たという。2階から地下3階も25%減った。


これらに対する東北電力の見解は次の通りであった。

ひび割れにつきましては、そのほとんど(1,046箇所)が幅0.3mm未満の微細なものであり、構造上問題となるものではなく、詳細な調査を必要とする幅1.0mm以上のひび割れはありません。
これらのひび割れは地震により発生したものと考えられますが、ひび割れには乾燥収縮による影響も考えられるため、詳細な検討を実施中です。

ひび割れによる原子炉建屋の耐震壁の初期剛性(地震の揺れの力に対する変形のしづらさの度合い)の低下が認められておりますが、建屋の耐力(地震の揺れに耐える力、強度)は低下していないため、耐震安全性に影響を与えるものではありません。

当社では、基準地震動が建設当初より大きくなっていることも踏まえ、耐震裕度の更なる向上を図る観点から、原子炉建屋の耐震壁の増し打ちや鉄骨の筋交いを設置するとともに、機器配管のサポートなどの耐震工事も進めてきたことから、耐震安全性は確保されているものと考えております。

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