三菱重工の米国サンオノフレ原子力発電所に係る仲裁の裁定

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三菱重工は3月14日、米国サンオノフレ原子力発電所に係る国際商業会議所の仲裁の裁定を受領したと発表した。

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カリフォルニア州でサンオノフレ原子力発電所(San Onofre Nuclear Generating Station)を運営するSouthern California Edisonと100%子会社のEdison Material Supply LLCは2013年10月17日、三菱重工が設計・製作した同発電所の蒸気発生器の欠陥について、三菱重工を相手に国際商業会議所に仲裁を申し立てた。

San Onofre原発には、2号機と3号機があり、2号機は1983年、3号機は1984年にスタートした。

三菱重工業は2号機、3号機の取替用蒸気発生器を各2基納入したが、2012年1月31日、3号機の蒸気発生器の1次側から2次側への配管から微量の冷却水が漏れて緊急停止、微量の放射性物質が漏れた可能性もある。
定期点検中の2号機でも配管摩耗が見つかり、Nuclear Regulatory Commission(NRC)はすべての稼働を禁じた。

漏えいの直接的原因は、U字管部における伝熱管同士の接触による摩耗と判断された。この摩耗現象は これまで発生していない。
三菱重工ではこの蒸気発生器は
Southern California Edisonの承認を得て製作されたとしている。

Southern California Edison2013年6月7日、蒸気発生器の配管破損で前年から停止中の米カリフォルニア州南部のSan Onofre原発 全2基を廃炉にすると発表した。

2012年10月、2基のうち1基を7割の出力で稼働する計画をNRCに出したが、市民団体や一部議員が反対、NRCも公聴会を重ねるなどして判断に時間がかかり、「再稼働できるかどうか、できたとしてもいつになるか不安定な状態がこれ以上続くのは、利用者や投資家にとってよくないとの結論に至った」とコメントを出した。

2013/10/22 米国原発会社、三菱重工業の蒸気発生器の欠陥で仲裁申立て 

Southern California Edison側は2013年7月に三菱重工に対し紛争通知を提出したが、解決に至らなかったため、仲裁を申立てた。仲裁結果は拘束力を持つ。

Southern California Edison側の請求額は2015年10月に75.7億ドルと確定したが、2016年7月に66.67億ドルに変更された。

これに対し、三菱重工では、取替用蒸気発生器の一部に不適合が存在したことを認めつつも、本契約に定められた保証義務は果たしたことから、責任上限(約137百万ドル)は有効であると主張した。


国際商業会議所の今回の仲裁裁定の内容は下記の通り。

・ 三菱重工の主張を認め、責任上限(約137百万ドル)に既払い費用や金利等を調整し、125百万ドルの支払いを三菱重工に命じる。

Southern California Edison 側の主張する三菱重工の詐欺及び重過失の請求については棄却

Southern California Edison 側に三菱重工の仲裁費用 58.1百万ドルの支払いを命じる。

仲裁決定は拘束力を持つため、これで本件は決着する。

三菱重工では、既に引当済みの金額を加味すると、今回の仲裁裁定に関する業績への影響は軽微としている。

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