日本触媒の高吸水性樹脂の紙おむつ使用特許で逆転判決

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知的財産高等裁判所は3月16日、日本触媒が保有する高吸水性樹脂を紙おむつに使用することに関する特許を有効とする特許庁の審決を取り消す判決を行った。

本文 http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/610/086610_hanrei.pdf
要旨 http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/610/086610_point.pdf

本特許については、住友精化が2014年9月に特許無効審判を請求したが、特許庁は2015年11月、特許を有効とする審決を行った。

住友精化はこれを不服とし、知的財産高裁に対し、原審決の取消しを求めて訴訟を提起した。

今回、知的財産高裁は、進歩性の判断に誤りがあるとして、特許庁の審決を取り消した。

知的財産高裁の判決には、上告棄却、破棄差戻し、破棄自判がある。今回は破棄差戻しになる。

原告の住友精化側の主張を認め、特許庁の審決を取り消すもので、特許庁は、本判決で指摘するポイントを折り込んで、改めて、本特許が無効か否かの審決を行う。


なお、2015年11月の特許を有効とする審決を受け、日本触媒は2016年1月、住友精化に対し特許侵害の訴訟を行った。

住友精化が製造・販売する高吸水性樹脂を紙おむつに使用することで、 日本触媒所有の特許権を侵害するとして、(1) 本製品の製造差し止め、(2)本製品の廃棄、および(3)10 億円 の支払い及び支払済に至るまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めた。

これに対し、住友精化は、本件特許は無効として対抗している。

特許の有効性の訴訟

特許侵害の訴訟

日本触媒 特許取得
住友精化   日本触媒の特許無効審判請求 
特許庁  2015/11/10 特許の有効性を認める審判
住友精化  知的財産高裁に、審決取り消しを求める訴訟  ↓
日本触媒 2016/1/29 特許侵害で訴訟
・本製品の製造差し止め、
・本製品の廃棄
・10 億円の支払いを求める。
住友精化  「本件特許は無効」の主張
知的財産高裁 2017/3/16 原審決を取消す判決
特許庁 知財高裁判断を折り込み、今後、改めて審決 左の結果による

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