SaudiAramco、マレーシアのRAPID計画に参加

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SaudiAramco は2月28日、マレーシアの国営石油会社 Petronasが同国南部ジョホール州で進める石油精製・石油化学プロジェクト(RAPID:Refinery and Petrochemical Integrated Development )の建設に70億ドルを投資すると発表した。

両社は同日、マレーシア訪問中のサウジのKing SalmanとマレーシアのNajib Razak首相の見守るなか、Share Purchase Agreement に調印した。

Aramco はRAPID計画の特定の事業・資産に50%参加する。
報道では70億ドルを投資するとしている。

Aramcoは製油所が必要とする原油の70%を供給する。天然ガス、電力、その他のユーティリティはPetronasが供給する。

RAPID計画の総支出は270億ドルと見積もられる。

Petronasによると、計画の60%は完成しており、製油所は2019年に生産を開始する予定。

2014年に両社のトップが会談し、協議をしてきたが、本年1月にAramcoが収益性の懸念から撤退するとの情報が流れた。
しかし、1カ月で逆転した。(Aramcoは今回、撤退の検討をしたことを否定した。)

サウジのエネルギー相は、これを東南アジアの他の投資に対するプラットホームにすると述べた。

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RAPIDは石油精製から石油化学までの一貫生産プロジェクトで、2011年に首相が建設を発表した。既存の同国の石油、ガス、石化設備と合わせ、マレーシアを地域の石油産業のハブにするという政府の方針に基づくもので、当初は2016年末までの商業運転を目指していた。

概要は以下の通りで、規模と範囲で、Petronasの既存のMelakaの製油所とKertihとGebengの石化コンプレックスを合わせたものよりも 大きいものとなる。

 立地:マレーシア南部ジョホール州 Pengerang

 事業内容

   石油精製:日量30万バレル(輸入原油の精製)
     石油化学計画に原料を供給するとともに、ガソリン、ディーゼルを含む石油精製品を製造する。

   石油化学:ナフサクラッカー(エチレン、プロピレン、C4、C5 合計300万トン)
          ケミカルズ、ポリマーズ

2012/11 INEOS Technologies Innovene G技術 導入(LLDPE/HDPE 350千トン

2012/12 Lyondellbasell 技術 導入 (PP 2系列合計 600千トン)

   LNGターミナル:LNGの受入・再ガス化(石化原料の多様化、マレーシアの将来のガス不足対策)
   コジェネレーション

Petronasは2012年5月18日、伊藤忠商事およびタイのPTT Global Chemicalとの間で、RAPID計画の一環として、一部石油化学事業の事業化調査に関する覚書を締結したと発表した。
一部事業案件について3社でFSを実施するもの。

2012/5/21 伊藤忠、マレーシアの石油精製・石化計画(RAPID)に参加

Petronasは2014年8月に主たるコントラクターを決めている。

FCCでは千代田が入るコンソーシアムが、クラッカーでは東洋エンジが選ばれている。

その後、原油価格が下落し、2016年初めにはPetronasは次の4年で支出を113億ドルカットすると発表し、配当もカットした。

今回のAramcoの投資はPetronasにとり救世主となる。

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