Westinghouse、Chapter11 申請

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Westinghouse は3月29日、ニューヨーク州連邦破産裁判所に米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続申し立てた。再生手続に則っての事業再編を念頭におきながら、当面現行事業をこれまでどおり継続する。

申請したのは東芝の米国の連結子会社のWestinghouse Electric と、その米国関係会社及び米国外の事業会社群の持株会社である英国の東芝原子力エナジーHD。

この間の事業継続のために、800百万ドルのDIPファイナンスを確保し、東芝はそのうち200百万ドルを上限として債務保証を提供する。

建設中の米国原子力発電所2サイトの顧客である各電力会社との間で、本手続申立後の当面の米国原子力発電所建設プロジェクトの作業継続につき合意を目指して協議している。

現在、Westinghouseは米国で2原発(各2基)を建設中だが、電力会社との改定契約で追加コストはWestinghouse負担となっている。
建設は進まず、今後の追加コストがいくらになるか、想定できない状況にある。

東芝では、WestinghouseのChapter 11手続きにより、追加コストを電力会社負担に変更してWestinghouseの損失を確定させるのが目的。
再生手続の開始により、Westinghouseは裁判所の管轄に移り、東芝の実質的な支配から外れるため、2016年度通期決算より連結対象から外れる。

東芝は、適用申請後の支援先として韓国電力公社グループに協力を要請した。

しかし、多額の追加負担が必要となる電力会社が簡単に応じるとは考え難い。

1) 東芝はWestinghouseに対して 7934億円の債務保証(うち原発関連は7100億円強)の債務保証をしており、東芝が代わりに求償を受ける。

2) 州の反対

3) 米国政府との関係


2017/3/13 Westinghouseの破産法申請が現実味

米電力会社2社は3月29日、建設計画の再評価に着手した。今後30日間をめどに追加コストの規模などを精査し、最も保守的な計画を策定する

SCANA (VC Summer) は2基の完成を前提に再評価作業を進めるが、追加コストなど新たな負担の度合いによっては、1基だけ完成させる案や2基とも建設から撤退する案も選択肢にする。
進捗状況は現時点で約3割だという。

Southern Co. (Vogtle Project)もWestinghouseと建設計画の再評価を巡る情報提供で協定を結んだ。

合意ができない場合、破産となる。これは雇用の確保を最優先とするトランプ政権が最も嫌うもので、外交問題になる恐れがある。

付記

Westinghouse の Danny Roderick会長が3月27日付で辞任していたことが判明した。事実上の解任とみられる。

2017年2月に東芝のエネルギー部門トップを辞任していた。

ーーー

東芝は同日、損益予想を明らかにした。親会社保証実行額とグループ向け債権貸し倒れは現時点では想定できず、最高額を示した。

単位:億円
営業損益 当期損益 株主資本 連結純資産
2017/2/14 時点 一般損益 3,025 2,304
のれん減少 -7,125 -6,204
合計 -4,100 -3,900 -1,500 1,100
今回見直し
(非連結化)
のれん損失除外 7,125
投資減損(US) -4,176
    (UK) -1,462
(小計) 1,487 2,000 2,000 2,000
保証実施(最大) -6,500
債権放棄(最大) -1,756
(小計) -8,256 -8,200 -8,200 -8,200
包括損益改善 1,500 1,500
非支配持分改善 200
合計(最大) -10,869 -10,100 -6,200 -3,400


東芝の赤字は1兆円を超える。

但し、これに止まる保証はない。

1) 上の投資減損は、現状の東芝の出資 87% に対応するもの。残り13% 相当についても今後、東芝の損失となる。

残りはIHIが3%、カザフスタン共和国の国営企業カザトムプロムが10%出資するが、両社とも一定期間後に簿価で東芝に譲渡するプットオプションを持つ。

IHIは2017年2月16日付で 、保有する株式全てを東芝に譲渡することができる権利を行使したため、2017年5月17日に東芝が取得する。
10%出資している カザトムプロムも、2017年10月1日以降、権利を行使可能になる。

2)保証分を超えて、東芝が債権者から訴えられる可能性はある。

3)別件だが、東芝はFreeport LNGとの間で年間220万トンのLNGの購入契約を結んでおり、これはTake or Pay の契約であり、市況が下がっても契約価格での引取り、または固定費の支払いが必要である。

計画 立地 生産開始 日本企業 契約数量
Freeport LNG テキサス州 2018 大阪ガス 
中部電力
220万トン
220万トン
2019 東芝    220万トン


東芝は3月30日、臨時株主総会を開き、半導体事業を分社化して売却する計画を3分の2以上の賛成で承認した。
4月1日に半導体事業の新会社「東芝メモリ」を発足させる。

東芝メモリの売却先を決める入札手続きは3月29日に締め切られ、海外のファンドや競合企業など約10社が応札した。東芝が希望する2兆円以上での買収提案もあったという。


参考

2017/1/24 東芝の原子力事業の損失の実態
  2017/1/30 東芝、原発事業を見直し
  2017/2/16 東芝の状況
  2017/3/13 Westinghouseの破産法申請が現実味

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