米商務省は3月31日、2月の個人消費支出(Personal Consumption Expenditures)統計を発表した。
それによると、PCE物価指数は前年同月比2.1%上昇した。米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%を超えるのは2012年4月以来、4年10カ月ぶり。
食品とエネルギーを除くコアの物価上昇率は前年同月比1.8%だった。
これとは別に、米労働省が消費者物価指数(CPI)を発表している。
2016年12月(食品とエネルギーを除くものは2015年11月)から既に前年比で2%を超えている。
米連邦準備理事会(FRB)は現行の金融緩和政策について、インフレ率が目標水準である2%付近を維持することを条件としている。
FRBが注目しているのはPCE指数で、多くのエコノミストはこれをより正確なインフレ指標と見なしている。
FRBは3月15日の米連邦公開市場委員会(FOMC) で、昨年12月以来、3カ月ぶりの利上げを決めた。短期金利の指標であるフェデラルファンド金利の誘導目標を、年0.50~0.75%から0.75~1.00%に引き上げた。
2017/3/18 米国、追加利上げ
発表の席で、「食品とエネルギーを除く物価は長期目標2%に近づいている 」と述べた。
発表時には、CPIは全体もコアも既に2%を超えているが、PCE指数は未達であった。
今回、PCEが全体では目標の2%を超え、食品とエネルギーを除くコア指数も、2%に近づいている。
さらに、米商務省が3月30日に発表した2016年第4・四半期のGDP確報値は、年率換算で前期比2.1%増で、前回発表の1.9%から上方改定された。
今後の利上げ路線を後押しするとみられる。
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この2つのインフレ指標は、指数の計測方法に複数の相違点がある。
PCEがカバーする支出範囲はCPIよりも広い。
CPIは家計の現金支払い分を測るが、PCEには企業が負担する健康保険費用など、家計消費に関連する費用も含まれている。
PCEのウエイトに使われているデータは企業調査に基づいており、CPIのウエイトに使われている消費者調査よりも信頼性が高い。
PCEとCPIではデータソースが違うため、比較可能な品目の相対ウエイトが異なる。
PCEは、企業調査の小売販売データから導出されている。医療関係費のウエイトが最も高くなる傾向にある。
CPIは、消費者購買データから導出されており、住宅費用のウエイトが最も高い。 上げ幅がPCE指数に比べて大きくなる原因の1つ。
CPIは2年ごとに更新される商品のバスケットから導出される固定ウエイトを用いており、その間に発売された新商品や期中の価格変化を織り込めない。
PCEは短期間に生じる消費者行動の変化を調整する式を用いている。
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