メキシコ国境の壁建設、来年度に予算先送り 

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Paul Ryan下院議長は3月30日、メキシコ国境の壁建設について、来年度に予算計上を先送りする方針を示した。


Ronald Trump は2016年10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 "Donald Trump's Contract With The American Voter" を発表した。

そのなかに、政権の最初の100日で「不法移民を排除するために南部国境沿いにメキシコ政府の費用で壁を建設する」件を議会を通すよう戦うというのがある。

大統領は2017年1月25日、Executive Order を出し、「南部の国境を守るために、即座に物理的な壁を建設する」と命じ、「不法移民、麻薬、人身売買、テロ行為を防ぐために、適切な人員が支援する」とした。


前日の Twitter: "Big day planned on NATIONAL SECURITY tomorrow. Among many other things, we will build the wall!"

当日のTwitter:
  "The U.S. has a 60 billion dollar trade deficit with Mexico.
   It has been a one-sided deal from the beginning of NAFTA with massive numbers
of jobs and companies lost.
   If Mexico is unwilling to pay for the badly needed wall, then it would be better to cancel the upcoming meeting."

これを受け、メキシコ大統領が訪米を取りやめたが、その後、両大統領が電話会談を行い、壁問題は分からなくなった。

しかし、3月27日の報道では、大統領は壁の建設資金として10億ドルの承認要請を議会に提出した。

San Diego の境界壁(14マイル)と交換用フェンス(14マイル)
Rio Grande Valley の堤防壁(28マイル)と境界壁(6マイル)

大統領はほかに、2018年度分の壁の予算26億ドルを提出している。これには「戦略的インフラ」と壁の設計計画の費用のほか、国境パトロール部隊(500人)と移民・関税警官(1000人)の人員強化費用3億1400万ドルも含まれる。

メキシコとの国境線の全長は1954マイルで、壁の建設には、総額で最大200億ドルの費用が掛かると推計されている。大統領の当初の意気込みからみると、控えめなスタートである。

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今回、予算計上を見送ったのは2017年度(2017年9月末まで)の予算である。

オバマ政権では、予算が事前に決まることはなく、2016年10月からスタートする2017年度予算も、2016年12月9日までの暫定予算でスタートした。

2016/10/5 米国、2017会計年度も暫定予算でスタート 

米上院は2016年12月9日午後11時16分(期限直前)に、2017年4月28日を期限とする連邦政府の暫定予算案を賛成 64票 反対36票で可決した。
昨年とほぼ同レベルの支出を政府に認めるもので、4月29日以降についての本格予算はトランプ次期政権が発足してから審議することとした。

2016/12/10 米国議会、来年4月28日までの暫定予算を可決 

4月29日以降の予算案が円滑に議会を通過するには民主党の協力が不可欠で、4月28日までに通過しなければ、政府機関の閉鎖に追い込まれる。

大統領は壁建設費用はメキシコに弁済させると主張しているが、メキシコ側は支払わないと断言している。
壁の建設には民主党が反対しており、共和党内でも反対が出る可能性がある。

下院議長は、「政府機関の閉鎖にはならない。大統領も閉鎖を望まない」と語った。

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米国の予算執行には、予算案の承認問題に加え、債務上限問題がある。余り問題になっていないが、実は現時点で既に上限に達している。

1917年に米国債の上限が法律で制定された。上限の見直しには議会の承認が必要である。

上限見直しはこれまではスムースには行われていない。

2015年も、3月16日以降は18兆1000億ドルの法定上限を超過する借り入れはできなくなり、政府が持つ基金の金を活用するなどの特別な措置でやりくりしており、11月3日にもデフォルトが発生する懸念があった。

オバマ大統領は2015年10月2日、債務上限問題について、解決する責任は議会にあるとして、野党共和党とは「交渉しない」と改めて表明。議会が上限を引き上げなければ、米国債のデフォルトが発生し「金融システムは危機に陥る」と警告した。 

これを受け、米政府と議会指導部は協議を続け、10月26日遅く、連邦債務上限の引き上げで合意に至った。債務上限凍結を2017年3月15日まで再び延長し、それ以降については期限までに行った借り入れを含む金額を新たな上限として設定するとした。

2015/11/4 米議会、債務上限引き上げと予算案を承認、大統領署名 

凍結期間の3月15日は既に過ぎた。これまでに行った借り入れを含む金額は19兆8000億ドルで、これを超えた借り入れには、上限の引き上げが必要である。

余り問題となっていないのは、追加の国債発行なしで暫くはやっていけるためで、連邦職員のsavings plan、Exchange Stabilization Fund、Civil Service Retirement and Disability Fundなどを活用し、秋まではやっていけるとみられている。

予算も債務上限引き上げも、スムースに通らなかったのは、オバマ政権時代は議会で多数を占める共和党の反対があったためであるが、Trump 政権の提案内容によっては野党民主党だけでなく、与党の共和党内からも反対が出る可能性がある。



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