Trump大統領、"Buy American"、"Hire American"の大統領令

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Trump大統領は4月18日、連邦政府機関に米国製品の調達を優先するよう求める"Buy American"、高度な技術を持つ外国人労働者を対象とするビザの審査を厳格化する"Hire American"の大統領令を出した。

EXECUTIVE ORDER Presidential Executive Order on Buy American and Hire American

大統領は中西部ウィスコンシン州で演説し、「労働者を守り、雇用を守るという力強いシグナルを世界に送る」と「米国第一」の姿勢を改めて強調した。

Twitterでは、こう呟いた。

We're going to use American steel, we're going to use American labor, we are going to come first in all deals.

大統領令の内容は次の通り。

"Buy American"、"Hire American" を政府のPolicyと規定した。

"Buy American":経済及び国の安全保障を推進し、経済成長を刺激し、雇用を生み、中間層を強化し、米国の製造業・防衛産業を支援するため、法律の許す範囲で、米国で製造される物品の使用を最大化することが政府のPolicyである。

"Hire American":米国の労働者の賃金を上げ、雇用を増やすため、経済的利益を守るため、外国からの労働者の流入を規制する法律を厳格に施行し、管理することが政府のPolicyである。

1."Buy American"

各省庁は、現在のBuy American Lawsでの実情を直ちにチェックし、150日以内に、改善点を報告する。
商務長官は、国務長官等と相談し、大統領に報告する。

2009年2月に成立した米国の景気対策法では公共事業などに米国製の鉄鋼製品の購入を義務付けるバイアメリカン条項が盛り込まれた。WTO協定に違反しないよう「国際的な合意に沿って適用する」との文言が加えられた。

条項の例外措置が多いとして、米国製品購入の最大化に向けた方策を検討させる。

コストが安いという理由で外国品を使用する場合は、ダンピングその他の影響がないことを確認する。

2."Hire American"

国務長官、司法長官その他は、米国の移民システムの運営で、米国の労働者の利益を守るため、これまでのルールを改善する新ルール、新ガイドラインを提案する。

H-1B visaを適切に機能させるため、H-1B visaは技能と賃金水準が最も高い申請者に与えるよう変更する。

現行規則では、H-1B visa発給は抽選で無作為に決められているため、どの候補者にも平等なチャンスがある。

H-1B visaはProfessionalに発行されるビザで、要件は次の通り。年間の発行数が制限される。

・職務内容がプロフェッショナル(Specialty Occupation)なものであること。

・ビザ申請者がプロフェッショナルとしての資格を持っていること。
  通常は学位によって判断されるが、特別なケースでは職業経験を学位に換算することが可能。

・ビザ申請者の学位と職務内容が一致すること。

H-1B visaは 、Apple、Google、Microsoftなど IT業界で働くアジアなどの移民技術者が多く利用する。低賃金で外国人を雇っているのが問題とされる。

大統領は、毎年8万5000人の技能労働者を米国にもたらす本制度について、「広い範囲で悪用」されていると訴えている。

米移民局はH-1B visaの申請を優先審査する「特急審査」をトランプ政権発足後に停止し、4年制大学を卒業していないプログラマー職をH-1B visaの対象外とする制度の周知を関係部局に求めた。

今回の大統領令はこれらの措置の徹底を求めるもの。

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大統領は1月27日の大統領令で、イラン、イラク、シリア、イエメン、リビア、スーダン、ソマリアの7か国)へのビザ発給を90日間停止した。

この時、IT業界大手は死活問題として大統領令を批判した。

これについては裁判所が差し止めの仮処分を行った。

2017/2/5 米連邦地裁、移民の入国一時禁止の大統領令の即時差し止め仮処分 

しかし、Bloombergは1月30日付で、Trump政権は、米国の就労ビザプログラムをターゲットとした新しい大統領令の草案を作成済みだと報じていた。

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