米中「100日計画」第一弾発表

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米中両政府は5月11日、4月の米中首脳会談で合意した貿易不均衡の是正に向けた「100日計画」の第一弾を公表した。

米国のMnuchin 財務長官、Ross 商務長官と中国の汪洋 副総理の3人が共同委員長となり、協議をしてきた。

今回は、鉄鋼や為替問題など両国の利害がぶつかる問題は先送りした。

米中は今回、100日間だけでなく、1年間の長期計画をつくることでも一致した。今年夏に米国で包括経済対話を開き、具体策を協議する。


第一弾は次の10項目から成る。

1.  中国は7月16日までに、国際的な食品安全基準、動物の健康基準を満たした米国産牛肉の輸入を認める。

中国は米国産牛肉について、過去の牛海綿状脳症(BSE)発生を理由に輸入を禁止してきた。

2.  米国は中国原産の調理済み鳥肉の米国への輸入問題を出来るだけ早く解決し、輸入を認めるためのルールを7月16日までに発表する。

3.  中国のバイオセーフティ委員会は、申請されている8つの米国のバイオテクノロジー製品について、使用される用途での安全性を評価するための会合を5月末までに開催する。

4.  米国は中国や他の貿易相手国が米国からLNGを輸入するのを歓迎する。中国に対して、他のどのFTA非締結国に比べても不利な扱いをしない。中国の企業はいつでも、あらゆるタイプの輸入契約を締結できる。

米国は輸出承認で米国とFTAを締結している国とそれ以外で差をつけている。
2010年9月に米国がFTAを締結している国(将来締結した国も含む)に限定して輸出許可が出された。

その後、個別に承認しており、4月25日現在、FTA非締結国に対し、日量192億立法フィートの天然ガス輸出を承認済み 。

5.  中国は7月16日までに、100%外資が中国で信用格付サービスを行うのを認める。

6.  米商品先物取引委員会(CFTC)は、商品取引所法に定められたデリバティブ決済組織としての登録を怠ったShanghai Clearing Houseに対して強制措置を推奨しないという期限付きのノーアクションレターを発行しているが、これをさらに3年延長する。

7.  中国は7月16日までに、100%米国資本の電子決済サービス開始申請のガイドラインを出し、完全で迅速な市場アクセスに道を開く。中国は中国の銀行に対し、引き続き二重通貨建てカード発行を認め、米国の電子決済サービス業者が取引できるようにする。

8.  米国の連邦規制当局は、中国の金融機関に対し、他の外国金融機関と同じ管理を行う。

9.  中国は米国の金融機関2社に対し、7月16日までに債券の引き受け・決済業務の免許を付与する。

10. 米国は中国の「一帯一路」構想の重要性を認識し、5月14-15日の関連会議に代表団を送る。(White HouseのアドバイザーMatt Pottinger を代表とする)

中国政府は「一帯一路」計画をテーマにした初の国際会議「一帯一路フォーラム」を5月14日から2日間、北京で開催する。会議にはロシアのプーチン大統領ら28か国の首脳などが出席する。
北朝鮮の対外経済相も出席する。

日本からは自民党の二階俊博幹事長ほかが出席する中国から招待されていた世耕経済産業相は出席を見送ったが、会議出席による日米関係への影響を考慮したとされる。

2017/5/13 中国の「一帯一路」計画の現状

付記

習近平国家主席は5月14日、「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの開幕式に出席し、基調演説を行った。
内容を昨日の記事に付記しました。


中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)にはG7中、米国と日本だけが参加していない。
AIIB参加の可能性を問われたRoss 商務長官は「短い期間では協議されていない」として明言を避けた。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は2017年3月23日、新たにカナダや香港など13カ国・地域の加盟申請を承認したと発表したが、「一帯一路フォーラム」の前日の5月13日にさらに7か国の加盟を発表した。合計は77か国となる。(アジア開発銀行は67か国)

2017/3/25 アジアインフラ投資銀行、加盟70カ国地域に G7参加見送り 日米だけ に付記

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