中国商務部は4月29日、公告25号を出し、DowとDuPontの合併を条件付きで承認すると発表した。
3月27日の欧州委員会の承認に次ぐものだが、米、加、豪、ブラジルの承認はまだ得られていない。
付記
ブラジル当局は5月17日、ブラジルのコーン種子事業の一部の売却を条件に承認した。
両社は現時点で、2017年8月1日~9月1日の間に統合を行い、それから18カ月以内に会社分割を行う予定としている。
欧州委員会は、
① 既存農薬の多くの市場での著しい競争の減少と農薬でのイノベーション競争の著しい減少及び
②特定の石油化学製品(アクリル酸コポリマー)で著しい競争の減少を懸念した。
これに対し、両社は、
①については、DuPontの農薬事業のかなりの部分をR&D組織を含めて売却するとし、
②については、Dow はスペインと米国のアクリル酸コポリマー製造拠点の売却及び購入販売しているアイオノマーの購入契約の譲渡を約束し、承認を得た。
2017/2/15 Dow とDuPont、合併承認を求め、事業売却を提案
2017/3/28 EU、条件付きでDow / DuPont 合併を承認
②については、Dowは承認を受ける前の2月2日、グローバルのエチレンアクリル酸コポリマー事業(スペインと米国のアクリル酸コポリマー製造拠点)と購入販売しているアイオノマーの購入契約をSK Global Chemical に売却する契約を締結した。
①については、DuPontは3月31日、FMCとの間で、同社の農薬部門の一部を研究開発部門を含めて売却する契約を締結した。
2017/4/4 DuPont、FMCに農薬事業を売却、健康・栄養事業を買収
中国商務部の懸念も欧州委員会と同様で、このうち①の農薬についてはコメ用の除草剤、殺虫剤を問題にした。
承認条件は次の通り。
①について、
・DuPont のコメ用除草剤 metsulfuron-methyl、tetrazosulfuronの原体、製剤関連の全て(R&Dを含む)の売却
・DuPontのコメ用殺虫剤 Bromocriptine、chloramphenic benzamide、indoxacarb の原体、製剤関連の全て(R&Dを含む)の売却
・承認後5年間、下記製品を非独占でリーズナブルな価格(過去12カ月平均より高くない価格)で中国企業に供給
DuPontの除草剤 bensulfuron-methyl、bensulfuron-methyl-oxazolone、pyrazosulfuron の原体、製剤
Dow のコメウンカ防除剤 fluoroacetaminonitrileの原体、製剤
・承認後5年間、DuPontの7製品、Dowの2製品について中国で独占販売権を与えない。
②については、欧州委員会と同様、アクリル酸コポリマー事業とアイオノマー事業の売却 (処理済)
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