東洋エンジニアリングの決算  米国エチレンプロジェクトで損失

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東洋エンジニアリングは5月19日、2017年3月期決算を発表した.

売上高は受注した海外プロジェクトなどの進捗で増収となったが、営業利益は、米国向けエチレン製造設備プロジェクトにおいて工事コストの大幅な増加による収支悪化により、20億円の損失 (前連結会計年度は営業利益110億円) となった。

昨年度決算発表時から当年度第2四半期までは125億円の利益を予想していたが、第3四半期でゼロとし、決算では20億円の赤字となったもの。

なお、2017年10月1日に株式5株を1株に併合する。期末配当の15円は従来ベースで3円。


                             単位:億円

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益

配当(円)

中間 期末
2015/3 3,115 -74 -253 -210 4 0
2016/3 2,998 111 39 30 0 4
2017/3予 '16/5 4,500 125 105 50
'17/2 4,500 0 10 0
2017/3 4,319 -20 16 15 0 2
前年比 1,321 -131 -23 -16 0 -2
2018/3予 3,700 65 50 20 0 15 (3)
付記
2018/3実績
3,357 -330 -278 -268 0 0


付記

同社の2018年3月期実績は上記の通りとなった。米国エチレンの総利益は485億円の損失。

同社は11月28日の取締役会で、インテグラルTeam投資事業有限責任組合 及び Innovation Alpha Team L.P. に、第三者割当の方法により、総額15,000百万円のA種優先株式を発行することを決めたと発表した。


同社の説明によると、米国のエチレン製造設備プロジェクトでは昨年春以降、地盤の問題で杭工事の手直しが相当量発生し、対応工事を進めてきたが、本年1月に杭工事の問題がほぼ見通せる状況となり、また、プロジェクト全体の設計が固まったことを受け、工事スケジュールと工事数量の見直しを行い、コストを精査した結果、杭工事の追加工事、工事数量増によるコスト、工期遅延防止のためのコストの大幅な増加を認識した。

2016/5時点の営業損益予想と、'17/2予想との差、実績との差から、本工事のコストアップによる損失負担は125~145億円に達するとみられる。

この米国向けエチレン製造設備プロジェクトはShintechのエチレンプロジェクトである。

2014/4/17 Shintech、米国でエチレン工場の建設許可を申請

同社が実施中の米国の石化プロジェクトは次の通りで、工事を含めるのはエチレンの1件のみ。

ポリエチレン計画 エチレン計画 メタノールプラント設計業務
受注 2014年12月 2015年4月 2016年3月
客先 Sasol Shintech Inc. (信越化学) G2X Energy, Inc.
EPCコントラクター Proman AG の下請け
受注者 Toyo Engineering Korea 東洋エンジニアリング 東洋エンジニアリング
建設地 ルイジアナ州 Lake Charles ルイジアナ州 Plaquemine ルイジアナ州 Lake Charles
対象設備 LLDPE 年産45万トン エチレン 年産50万トン メタノール 年産140万トン
ライセンサ- Univation Technologies, LLC Lummus
役務内容 ポリエチレン製造設備の詳細設計、資機材調達、モジュール製作、建設支援業務 設計、機器資材の調達、工事、試運転の一括請負 タノールプラントの基本設計および詳細設計
完成時期 2017年を予定 2018年前半
受注金額 約14億ドル

東洋エンジニアリングによると、本プロジェクトの状況(2017年3月末)は次の通り。

杭工事完了、全体としてキャッチアッププラン通りに進捗 (当初の完成時期からの遅れは明らかにしていない)

基礎工事・鉄骨・配管据付・大型機器据付進行中

全体進捗率 約50%、工事進捗率 約20%

Google mapからShintech Plaquemine


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東洋エンジニアリングは2015年3月期にも営業損益で赤字を計上している。更に、営業外損益で持分法適用に伴う損失 154億円を計上し、経常損益は253億円の赤字となった。

海外プロジェクト(エジプト向けPE、カナダ向けオイルサンド処理、インドネシア向け化学肥料、米国向け2件の石化製品、等々)での収支悪化が原因で、本質的原因として下記を挙げている。

・受注不振時期に無理な受注があったこと

・プロポーザル時のリスク評価に甘さがあったこと

・事業拡大のなか、キーパーソンが不足し業務品質が低下したこと

・拠点分散型のプロジェクト管理が不十分で、問題発生前、発生時の状況把握に遅れが生じたこと

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