Western Digital の歴史 

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東芝の半導体事業の東芝メモリの売却先を巡り、動きが急である。

米半導体大手のBroadcom Ltd.、東芝の四日市工場で半導体事業に共同投資する米Western Digital Corp、シャープを傘下に持つ台湾の鴻海精密工業(Foxconn)、半導体大手の韓国SK Hynix の4陣営が有力とされたが、技術の海外への流出を恐れる日本政府が動いた。

官民ファンドの産業革新機構は4月28日、「産業革新委員会」で出資方針について確認し、米投資ファンドなどとの連携に動き出した。

Western Digital は、東芝の取締役会宛ての4月9日付の同社CEOのレターで、東芝メモリの分割がJV契約の重大な違反であるとしている。入札手続きは東芝の株主の利益にならないとし、独占交渉を求めている。

Western Digital は2016年5月にSanDisk の買収を完了したが、その SunDisk は1999年にNAND型フラッシュメモリ事業に関する提携で東芝と基本合意した。

当初、米国での共同生産を行ったが、その後、実質折半出資のJVが東芝の工場の建屋内に設備を所有し、生産を行い、製品を折半で引き取っている。これまで日本に90億ドルもの投資をしたという。

2017/4/14 東芝の半導体売却に新たな難問


付記 東芝社長とWestern DigitalのCEOが5月10日会談した。両社の見解の対立が続くが、打開策を模索する。

Western Digitalは、他社への売却に異議を唱え、売却に拒否権を持つと主張。

東芝は、Western Digital がSunDiskを買収した際に東芝の同意を得ていないため、他社への売却の拒否権はないと主張。
妨害行為をやめなければ、施設からWestern Digital の技術者らを締め出すとしている。

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Western Digial は2016年5月のSunDisk 買収まではハードディスクドライブ(HDD) 専業メーカーで、2011年に日立から事業を買収して大きくなった。

同社は1970年にGeneral Digitalとして設立され、当初は主にMOS半導体の試験装置の製造企業だったが、その後、特殊な半導体を製造する企業となった。
1971年7月、Western Digital に改称した。

1975年には、世界最大の独立系電卓チップメーカーとなり、1980年代前半にストレージ事業に参入 した。

その後、事業を多角化し、 グラフィックカード、チップセット、ネットワーキングなどに拡大していった。

1988年に Tandon Corporationのハードディスク生産工場を買い取り、ハードディスクに専念することを決め、他の部門を売却した。

1995年頃になると低迷期を迎え、 1998年にIBMに援助を求め、市場での地位を取り戻した。


日立は2002年6月にIBMのハードディスクドライブ(HDD) 事業の買収を決めた。IBMの知的所有権を含めたHDD関連資産の大半を、3年間の分割払いとして20億5千万ドルで買収するもの。

まず、日立70%、IBM 30% 出資の新会社 Hitachi Global Storage Technologies をカリフォルニア州に設立し、IBMの事業を移し、2003年1月に営業を開始、同年4月に日立のストレージ事業部を分割し、統合した。

日立から約6,800名、IBMから約14,700名の計約21,500名で、日米5カ所の開発拠点、7カ国8カ所の製造拠点などを持つ。

IBMへの支払い完了の2005年末に日立100%とした。

その後、日立にとってHDD事業は、薄型TVと並んで赤字のもととなった。2010年第4四半期にようやく短期黒字に到達したが、市況により業績が大幅に上下することが問題であった。

日立は2011年3月7日、100%子会社である Hitachi Global Storage Technologies をWestern Digitalへ売却すると発表した。
(Western Digital は買収した Hitachi Global Storage Technologies
の社名を、この略号である HGST に改称した。)

売却額は約43億ドルで、35億ドルの現金とWestern Ditigalの株式2,500万株(7億5,000万ドル相当)で支払われる。
これにより、日立はWestern Digitalの株式10%を保有する筆頭株主となり、2名の役員を派遣した。

日立は2013年に取得した株式の半分を売却、2014年には残る 1250万株の半分を売却した。(残りについての現状は不明。)
Western Digitalの株は当時から上昇しており、大きな利益をあげた。

Western Digital の元の技術はTandonの技術だが、TandonはPC向けの小容量HDDを主力にしていたメーカーであった。
同社はHGSTの買収で、日立と(以前に支援を受けた)IBMのトップ技術を取得することとなった。

Western Digital は2015年10月21日、SunDisk を190億ドルで買収すると発表 、2016年5月12日、買収手続きを完了した。
再び、半導体事業に戻った。

東芝とSunDisk の提携関係は買収後も維持され、現在に至っている。

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