米スリーマイル島原発、2019年に閉鎖

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米電力大手Exelon Corporation は5月29日、ペンシルベニア州のThree Mile Island Generating Station について、 州政府の支援が受けられなければ2019年に閉鎖すると発表した。

1979年3月に2号機が炉心溶融事故を起こし運転を停止した後も、1号機は稼働していたが、「シェール革命」でガス火力発電が安価になり、採算が悪化していた。

1974年に運転を開始した1号機は、米原子力規制委員会(NRC)から2034年までの運転認可を得ているが、採算割れが続いている。同社は運転継続を可能にするため、州政府に補助金など再生可能エネルギー並みの支援を要請したが、不調に終わっている。

発表でCEOは、New York 州やIllinois 州のように、Pennsylvania州も クリーンで安定したエネルギーを維持し、また雇用を維持する対策を取るべきだとする。原発が止まれば、大気汚染が増え、電力供給が不安定になり、消費者のエネルギーコストが増加し、雇用が減り、州経済を弱化させるとしている。

Pennsylvania州は2004年に、電力供給業者に対し、一定比率の代替エネルギーを義務付け、この比率を順次引き上げるという法律(Alternative Energy Portfolio Standards Act of 2004)を制定したが、太陽光、風力、水力などは対象になるが、原子力はこれに含まれていない。

New York州は2016年8月、採算が悪化した州内の原子力発電所を数十億ドルの補助金で支援するよう、画期的なクリーンエネルギー基準を制定した。固定資産税を財源に、州内に4カ所ある原子力発電所のうち3カ所の運営に2029年まで補助金を出す。

Illinois 州議会は2015年2月、低炭素電源利用基準設立法案を提案した。
電力会社に対し販売電力量のうち70%を原子力、太陽光、風力、水力、潮力、波力、クリーン石炭といった低炭素電源から調達することを義務付け、それら発電事業者から購入する「低炭素電源クレジット」のコストを需要家からサーチャージとして回収する 。

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Three Mile Island原発の概要は次の通り。

形式 出力 運転開始 事故発生 運転認可
1号機 加圧水型(PWR) 837MW 1974年6月19日 ーーー 2034年まで
2号機 加圧水型(PWR) 959 MW 1978年12月30日 1979年3月28日* ーーー

* 炉心溶融(メルトダウン)で、燃料の45%、62トンが溶融し、うち20トンが原子炉圧力容器の底に溜まった。

    1982/5 筆者撮影

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