中国人民銀行(中央銀行)は5月26日、人民元の対米ドル取引の基準値の決定に新たな手法を導入すると発表した。
市場心理の揺らぎや「群集効果」による相場の過度な変動を抑えるのが目的という。
現在は、前日の午後4時30分時点の終値と通貨バスケットの変動をベースに基準値を決めている。
中国人民銀行(中央銀行)は2015年8月11日、人民元売買の基準となる対ドルの為替レートの「基準値」の算出方法を変更すると発表した。
これまでは基準値は銀行から毎朝報告される為替レートをもとに人民銀行が決めていたが、市場の実勢レートとの差が大きかった。
8月11日からは、基準値を市場の前日終値などを参考に決め、市場の実勢を反映しやすくする。
これに伴い人民銀行は8月11日の基準値を前日から約2%切り下げた。
2015/8/11 中国、人民元/米ドル取引の基準値の算出方法を変更、人民元2%切り下げ
今回、新たに反循環的要因(counter-cyclical factor)を勘案する。counter-cyclical factorとは変動抑制を意味し、前日の相場が大きく変動した場合でも、基準値の変動を緩やかに抑える仕組みとされる。
現在の中国の為替市場は非合理的な期待で動く公算があり、これによって「非現実的な」需給が生じ、オーバーシュートのリスクが高まる。「反循環的要因」は「群衆行動」を和らげ、投資家が経済のファンダメンタルズにより注目するよう促すことに寄与し得るとしている。
これに対し、当局の裁量に基づく相場管理が再び強まる可能性があり、市場関係者からは「人民元の国際化に逆行する動き」との批判が出ている。
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これを受け、端午節の4連休明けの5月31日の人民元相場は対米ドルで大幅に上昇した。市場では当局が一段の元安や資本流出を食い止める方針との受け止めが広がっていた。
翌6月1日の基準値は前日終値近くに設定され、終値もほぼこれに近いものとなった。
2016年11月中旬以降、人民元は弾力化直前の2010年6月18日の終値より元安となっていたが、今回、元高に戻った。
当局による新手法導入の発表により、とりあえず、元安の動きを止めたことになる。
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