上海協力機構にインドとパキスタンが加盟

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中国、ロシア、中央アジア4カ国でつくる上海協力機構(SCO)は6月8日、9日にカザフスタンの首都アスタナで首脳会議を開き、習近平国家主席やプーチン大統領など、加盟6か国の首脳とオブザーバーの国々の首脳や代表らが出席した。

会議では、インドとパキスタンの正式な加盟を決めた。これによって加盟国の人口は合わせて30億を超え、世界のGDPに占める割合は、およそ20%に上る。

首脳会議では、両国の加盟により、域内の人口が世界の4割に達することを強調した。また、テロとの闘いで加盟国の連携強化をうたった宣言を採択し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の問題についても協議していく方針を確認した。

また、中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」について、「首脳らは歓迎し、5月の一帯一路会議の結果を称賛し、これまでの成果を支持する」と高く評価した。

インドとパキスタンの正式加盟を主導したロシアのプーチン大統領は、ウクライナ情勢をめぐって欧米と対立する中、両国を取り込むことで影響力を強め、欧米に対抗する狙いがあるものと見られる。
プーチン大統領は「政治や経済分野などで、より強力で影響力のある組織になる」と述べ、テロ対策や経済協力を進めることに意欲を示した。


しかし、インドとパキスタンはカシミール地方の領有権をめぐって対立しているほか、5月14日から2日間、北京で開催された「一帯一路フォーラム」をインドがボイコットしたことで中国とインドの関係もギクシャクしており、拡大と結束を両立できるのかが課題となる。

インドは、パキスタンと領有権を争うカシミール地方を通る「中パ経済回廊」が「一帯一路」に含まれていることに反発、「主権と領土保全における核心的な懸念を無視した事業計画を受け入れる国は1つもない」との声明を発表した。

オブザーバー国のベラルーシのルカシェンコ大統領は、「両国には意見の違いもあるが、SCOに加盟したからには問題を解決する責任が両国にある」と呼びかけた。

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上海協力機構は1996年4月に初めて集った上海ファイブを前身とする協力機構で、加盟国が抱える国際テロや民族分離運動、宗教過激主義問題への共同対処の外、経済や文化等幅広い分野での協力強化を図る。

2000年の会議にウズベキスタンがオブザーバーとして参加し、翌年に6カ国によって発展発足した。

その後、参加を希望する国が続出している。

正規加盟国 中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン(以上 上海ファイブ)
ウズベキスタン(2001年)
インド、パキスタン(2017年)
オブザーバー モンゴル、イラン、(インド↑)、(パキスタン↑)(以上 2005年)
アフガニスタン(2012年)
ベラルーシ(2015年)
対話パートナー スリランカ、(ベラルーシ↑)(以上 2009年)
トルコ(2012年)
アルメニア、アゼルバイジャン、カンボジャ、ネパール(2015年)
参加申請国 バングラデシュ、モルディブ、イスラエル、エジプト、シリア
客員 トルクメニスタン、独立国家共同体(CIS)、東南アジア諸国連合(ASEAN)

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