東芝、米国原発建設プロジェクトの親会社保証問題で前進

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東芝は6月10日、Westinghouseが建設中の「AP1000」原発、Vogtle 3、4号機建設計画に関する親会社保証について、Southern電力に対し、3,680百万米ドル(4129億円)を2017年10月から2021年1月までの間に分割して支払うことで合意書を締結した。

2008年にWestinghouseが2基のAP1000原子炉建設プロジェクトを受注した際、親会社保証契約を締結したが、今回、保証上限の金額とその支払いスケジュールについて合意したもの。

本合意に伴い、東芝の保証責任は今回合意した金額を上限として固定され、親会社保証にかかる追加での費用負担を遮断したこととなる。

下記の点で合意した。

今後、プロジェクトコストの増加等の如何なる事情を問わず、保証上限額以外の建設プロジェクト関連費用を東芝に請求しない。

実際の工事費用が当該金額よりも低く抑えられた場合に、東芝はその差額の一部の返金を受ける。

米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続について協調する。

Southern電力がWestinghouseの再生手続 において債権者として回収しえた額は保証上限金額に充当される。

東芝の2017年5月15日付の2016年度通期業績見通し(純損失9500億円)では、親会社保証引当金(6700億円)及び貸倒引当金合計9800億円を折り込んでおり、 今回の合意で追加負担はない。

別途、Westinghouseと電力会社はサービス契約を改定した。Westinghouseは原子炉「AP1000」などの技術提供・支援に回り、原発建設はSouthern電力が引き継ぐ。当面は工事を続行するが、そのまま完成を目指すか断念するかは今夏中にも決定する。

東芝は現在、VC Summer 2、3号機の建設プロジェクトに関し、South Carolina Electric & Gas 等と保証上限金額及び分割支払いスケジュールについて交渉を行っている。

これについての合意によっては、追加負担が生じる可能性もある。

また、それぞれの電力会社は総括原価方式により追加コストを電気料金に転嫁しており、消費者が東芝を訴える恐れもある。
Southern電力は米政府の債務保証で銀行から融資を受けており、これが影響する恐れもある。


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