ユーロ圏財務相会合、 ギリシャ融資再開で合意

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EUは6月15日のユーロ圏財務相会合で、中断していたギリシャへの支援融資を再開することで合意した。

今後、ドイツなど一部加盟国の議会承認を経て、計85億ユーロを融資する。

第1弾として77億ユーロを7月はじめに融資する見通しで、7月の約70億ユーロの国債償還にメドがたち、金融危機の再燃はひとまず回避された。

返済期限を迎える69億ユーロのギリシャ債の償還と8億ユーロの返済遅延分に充てる。

融資再開に向け、ギリシャ側は5月に年金削減や増税策などの財政構造改革法を成立させるなど、ユーロ圏やIMFの要求に応じてきた。

融資再開を巡ってはIMFの融資団復帰を求めるドイツなどユーロ圏と、抜本的な債務軽減策の履行をユーロ圏に求めるIMFの対立が続いていた。

IMFは2015年夏にまとめた現行の第3次金融支援に基づくギリシャ融資への参加を見送っている。

IMFは融資復帰の条件としてギリシャに対する抜本的な債務軽減策 をユーロ圏に求めている。

一方、ドイツなどは、国民感情から、さらなる債務軽減に慎重な半面、IMFが融資に復帰しなければ融資再開を認めない構えで、膠着状態が続いてきた。

今回、ユーロ圏側は一部債務の返済期限を最大15年延長する用意があるなどと表明し、危機再発回避に向けてIMFに歩み寄り、IMFも融資団への復帰を約束した。
IMFのラガルド専務理事は、ユーロ圏とは別に20億ドル(約2200億円)度の支援規模を見込んでいると表明した。

しかし、ユーロ圏側は、9月のドイツ下院選挙を控え、債務軽減策は即時実行されず、2018年夏に開始するとの立場を変えなかった。このため、IMFは実際の資金拠出は、ユーロ圏が検討するギリシャ債務軽減策の詳細が判明するまで見送る。

ユーロ圏は2016年5月、現行のギリシャ金融支援プログラムが終了する2018年夏に、債務返済の猶予や返済期間の延長など抜本的な債務負担の軽減策を導入することでは大筋合意済みである。
ただ独連邦議会選挙に配慮し、具体的な軽減内容の決定は2018年夏に先送りしている。

金融危機の再燃を避けるため、ユーロ圏側とIMFそれぞれが表面上のみ、相手の主張を受け入れた形である。

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IMFは当初から、債務の減免や返済期限の延期を主張してきた。

IMFのラガルド専務理事は2015年7月8日、ワシントン市内で講演し、財政危機で金融支援を受けたポルトガルやアイルランドなどが改革に取り組んだことを踏まえ、ギリシャについても「財政健全化と重要な改革が必要だ」と強調する一方、EUに対しては「ギリシャのケースでは、財政持続のために債務の再編が必要だ」と述べ、債務の減免や返済期限の延期を促した。

2015/7/13 ギリシャ対策 難航 

ギリシャは2015年8月、最大860億ユーロの支援でEUと合意し、2015年中に合計214億ユーロの融資を実行した。
(IMFは、
EUの条件が厳しすぎ、融資分が返済できない恐れがあるとし、参加を見送った。)

2015/7/14 ユーロ圏首脳会議、ギリシャ金融支援で合意

その後はギリシャ政府の財政再建努力を見極めるため、融資を中断し、支援継続にはギリシャが更なる改革を行うことが条件となった。

ギリシャ国会は2016年5月9日、EUによる金融支援継続の前提となる財政改革法案を与党の賛成多数で可決した。更にギリシャ政府は、2015年7月20日に13%から23%に引き上げたばかりの付加価値税の税率を24%に引き上げるほか、燃料やタバコ、アルコール類の増税などを柱とする新たな財政改革案を議会に提出し、議会は5月22日、賛成153、反対145で可決した。

これを受け、ユーロ圏諸国の財務相らとIMFは5月25日未明、ギリシャ支援協議で合意に達した。

総額103億ユーロの融資が数回に分けて実施される。

6月21日、最初の融資75億ユーロを実施し、10月25日、28億ユーロの追加融資を承認した。

2016/5/31 ギリシャ追加支援決定 

しかし、その後はギリシャが約束していた増税や年金の削減など構造改革が進んでいないとして、これを最後に融資を中断していた。

ギリシャは7月に約70億ユーロ(約8600億円)の国債償還を控えており、融資再開にメドをつけられなければ、ギリシャが債務不履行となる可能性が強まり、「ギリシャ危機」再燃の懸念がくすぶっていた。

今回の決定は危機回避のための妥協の産物であり、対立再燃の可能性を抱えている。

また、第三次支援は2018年夏で終了するが、その後の見通しも立っていない。

 

 

 

 

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