韓国、公取委委員長に「財閥狙撃手」が就任 

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韓国の漢城大学の金尚祚(キム・サンジョ)教授が6月14日、正式に韓国公正取引委員会の委員長に就任した。

金教授は、経済分析を通じて大企業の不当な利益確保を追求し、「財閥狙撃手」の異名を持つ。

最大財閥サムスングループの企業間での株式を持ち合う「循環出資」を批判するなど、財閥のあり方を問題視し、大企業の不当な利得確保を追及したことで知られる。

「韓国の不公正な市場経済秩序が経済活力を弱化させた一因」とし、大企業による中小・下請け企業への圧力などを徹底解明する方針とされる。青瓦台の人事首席秘書官は、「大企業と中小企業の新しい関係の確立など、経済改革の方向を決める適任者」と説明した。

就任後の財閥改革加速は必至とみられている。


文在寅大統領は、格差是正や財閥改革を公約として大統領に当選した。
5月10日に大統領に就任し、17日に主な政府機関のトップとしては最初に金教授を指名した。

金教授は6月2日に国会の人事聴聞会に出席したが、実際に住んでいない場所を居住地として届け出る「偽装転入」をしていたほか、不動産取引の不正、論文盗作などさまざまな疑惑が明るみに出て、野党が金氏の任命に反対した。

公正取引委員長は国会人事聴聞会の対象だが、任命に国会の承認を得る必要はない。

このため、大統領は6月13日に金教授を公正取引委員長に任命した。青瓦台の尹広報首席秘書官は、「自由で公正な競争秩序で公正な経済民主主義の秩序を作らなければならない。大事な時間を浪費することはできない」と述べた。

野党はこの強硬策を激しく批判している。

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文大統領は大統領選で、「偽装転入、兵役逃れ、不動産投機、脱税、論文盗用の『五大不正』に関与した人物を高官には任命しない」との原則を掲げていた。


5月31日に李洛淵・前全羅南道知事が
国会で任命同意案可決を得て首相に就任した。

同氏も、高校の美術教師だった妻が1989年に希望する学区に赴任するため偽装転入したことを認め、問題となった。


韓国大統領府は6月18日、外相に康京和・元国連事務総長特別補佐官を任命した。韓国で女性外相の誕生は初めて。

康氏は学者出身で、外交官試験合格者でもソウル大出身でもないが、外交通商相補佐官を経て、2003年から国連で勤務し、本年1月からAntónio Guterres 現事務総長の特別補佐官も務めた。

康氏は国会の人事聴聞会で、外交政策について不明確な答弁を連発、長女の入学のための「偽装転入」や税金の申告漏れなど過去の不祥事も発覚した。
(長女が米国の高校から韓国の高校に転校する際に、康氏の出身校に入るために親族の家に「偽装」転入したというもの。なお長女は二重国籍だったが成人に達した時に韓国籍を放棄したことも問題とされた。これらは「不正」とは考え難い。)

日韓合意については、国会の人事聴聞会で、「国連で人権を6年間担当した立場から、合意が出た際、非常に疑問を感じる部分が多くあった」、「被害者中心のアプローチで引き出した合意なのか、過去の歴史の教訓として残る部分をしっかり受け入れたものなのかについて疑問点が多かった」と述べた。

野党は「外相として不適格」として反対してきたが、今月下旬に迫った米韓首脳会談など外交懸案への対応が急がれることから、大統領権限による任命に踏み切った。

 

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