サムスン電子は7月5日、ソウル近郊の平沢市の新しい半導体製造ラインで量産を開始、権五鉉副会長ら約100人が出席する中、製品の出荷開始式を行った。
このラインは、サムスンによる最新の第4世代の64層、256GbのV-NANDフラッシュチップを製造する。
2015年5月の着工から約2年で完工したラインは、単一生産ラインとしては世界最大規模。最大生産能力は月産でウエハー20万枚程度で、既存工場の2倍に達する。
サムスン電子は同日、半導体の生産能力拡大に向け、20兆4千億ウォン(約2兆円)の投資を行うと発表した。
平沢工場の拡張には、約14兆4千億ウォンを追加投資する。「工場は複層構造で、1階に続き、2階に大規模生産ラインを構築する」と説明した。
すでに投資された15兆6千億ウォンを含めると、2021年までの同工場への投資は30兆ウォンに達する見通し。
華城市の半導体工場にも最先端半導体ライン建設に向け6兆ウォンを投資する。2014年に完工した中国・西安工場の半導体ライン(現在100%操業)を増設し、NAND型フラッシュメモリーの最大の需要地である中国市場に対応することを決めた。
これとは別に、韓国中部牙山市にあるサムスンディスプレーの工場にも年内に1兆ウォンを投資し、有機発光ダイオード(OLED)の新規ライン用の敷地造成を終える。
半導体事業が好況のなか、東芝がもたついているが、サムスン電子はライバルを蹴落とす好機とみて、攻めの投資を続けている。
IHS Technologyによると、NAND型フラッシュメモリーの世界シェアは次の通り。(2017/7/5 日経)
Samsung Electronics 韓国 35.2% JV 東芝 日本 19.3% Western Digital 米国 15.5% Micron Technology 米国 12.0% SK Hynix 韓国 10.1% Intel 米国 6.9% others 1.0%
この業界で生き残るためには東芝メモリ / Western Digital JVも積極的に投資をするしかない。
JVは利益を全額投入し、さらに追加借り入れを行って投資を続けるしかない。
産業革新機構や日本政策投資銀行は、東芝メモリを買収した場合、このような大胆な投資ができるであろうか。誰が投資を決めるのだろうか。
なお、機構は3000億円、政策投資銀行は3125億円を投資するが、これは東芝メモリの買収のため東芝に払われる。
これの回収には、東芝メモリの配当しかないが、配当を求めた場合は投資が停滞することとなる。
Bain Capitalの場合は、東芝メモリの企業価値が上がった時点で売却し、利益を得ることを考えていると思われる。
このため、当面は積極的に投資を続けることを主張するとみられる。
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