ベルギー、原発閉鎖へ5万人の「鎖」 

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原子炉に多数のひびが見つかっているベルギー南部 HuyのTihange 原発2号機などを巡り、6月25日、周辺住民ら 5万人超(主催者発表)が手をつな ぎ、Tihange 原発前から Liege、オランダのMaastricht を経てドイツ西部Aachen に至る3カ国にまたがる約90キロの「人間の鎖」をつくり「危険な原発」の即時閉鎖を訴えた。


ベルギーの原発は下記の通り。

原発 万kW 運転開始 運転停止
BR(Belgian Reactor)
Molの原子力研究所内
3  1.0 1962 1987
Doel  1 43.3 1974 2015→2025
2 43.3 1975 2015→2025
3 100.6 1982 2022
4 100.8 1985 2025
Tihange 1 96.2 1975 2015→2025
2 100.8 1982 2023
3 105.4 1985 2025


稼働中の7基はフランスのエネルギー大手GDF Suez 傘下のベルギー電力大手Electrabel が運用する。

ベルギーは2025年までに国内の原発を段階的に全廃する原則を盛り込んだ脱原発法を制定している。

Doel原発の1、2号機、Tihange1号機は建造から40年が経過しているため、2015年の閉鎖が一度確定していた。しかし、ベルギーでは代替エネルギーの確保が遅れ電力供給不安が発生していることから、2009年10月に、事業者が再生エネルギー研究・開発へ資金提供することなどを条件に10年間延長された。

エネルギー担当相は、「現在の情況を考慮すると2025年までの脱原発は現実的ではない」と語っている。

Tiha
nge 2号機はDoel 3号機と共に2012年に圧力容器に微細なひびが見つかり運転停止した。
原子炉は1年間運転停止、2013年に再稼働したが、安全性の欠陥のため何度も停止した。2号機の圧力容器外壁には9cmにも及ぶひびが2000か所見つかった。

Federal Agency for Nuclear Control は2015年11月に再稼働を認めたが、その後の定期検査中に内在有害欠陥に変化があるかどうかをモニターすることとした。

超音波検査の結果、5月5日に、ひびが広がっていないこと、新しいひびがないことが分かったと発表、再稼働を認めた。

Doel 3号機も2016年11月の定期検査中に同じ超音波検査を行い、異状がないことを確かめ、2016年12月に再稼働した。

今回、周辺住民らが「危険な原発」の即時閉鎖を訴えた。 オランダ、ドイツとの国境が近いため、両国の住民も「人間の鎖」に加わった。

ベルギーは電力の約55%を原子力発電に依存している。

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