EUの欧州委員会は6月27日、Googleがインターネット検索で自社のサイトが有利になるようにし、EU競争法に違反したとして、2,424,495 千ユーロの制裁金を命じたと発表した。
EUが競争法違反で科す制裁金では、2009年に半導体市場での競合企業排除で命じられた Intel の 10億6千万ユーロを抜き、過去最大となる。
Googleはネット検索市場での支配的な地位を乱用し、商品価格を比較する際に同社のサイト Google shopping を競合他社のサイトよりも目立つように表示されるようにすることで、公正な競争を阻害した。
Google が90日以内に是正しなければ、Googleの親会社Alphabet の全世界の1日当たり売上高の平均の最大5%の罰金を課す。罰金は別途定める。
更に、違法行為のあった各国での民事訴訟のリスクを負う。
欧州委の競争政策担当のMargrethe Vestager 委員は次のように述べた。
Googleは革新的な製品やサービスを提供し、世界の人々の生活を変えた。それは良いことだ。
しかし、同社の比較購入サービスの戦略は、単に消費者により良い製品を選ばせるということではなく、検索エンジンの市場支配力を利用して、自社の比較購入サービスを優先し、他社のサービスを降格している。
同社の行為はEUの独禁法に違反する。競合の機会を奪っただけでなく、最も重要なのは、欧州の消費者の選択肢を否定したことだ。
一方、Googleは、欧州委員会は Googleのサービスの意義を過小評価していると主張、決定に同意できないとし、「決定を詳細に審査し、上訴を検討する」としており、法廷闘争は長期化する見通し。
ーーー
Googleは2004年に欧州での比較ショッピング市場に進出した。最初は"Froogle"と呼び、2008年に"Google Product Search"に改称し、2013年からは"Google Shopping"と呼ぶ。
欧州経済領域 (EEA) の次の13か国でこの事業を行っている。
ドイツ、英国、フランス、イタリー、オランダ、スペイン、チェコ、オーストリー、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン。
消費者はオンラインで製品比較、価格比較を行い、オンラインで購入できる。
Google進出時には多数の競合業者があり、社内資料ではFroogleは失敗だとしていた。
2008年から戦略を変え、比較ショッピングでの優劣で競うのでなく、同社のインターネット検索での優位を利用することとした。
EUによると、問題点は下記の通り。
消費者が商品比較のため Google検索をすると、Google shopping が先ず並び、競合するショッピングサービスは数ページ先に並ぶ。
調査によると、デスクトップパソコンで最初のページの10件が全体のクリックの約95%を占める。トップにあるものは全体のクリックの35%を占める。
2ページ目になると、全体のクリックの1%に過ぎない。
画面の小さいモバイルでは影響はもっと大きい。4ページ目以降に置かれた他のショッピングサービスは消費者に見てもらえない。
検索エンジンの市場支配力を乱用して、自社のGoogle shopping を有利にしたのは違法であるとしている。
制裁金は2006年のガイドラインに基づき、対象13カ国での比較ショッピングサービスの売上高をベースに決めた。
EUはGoogleについて、他の2件でも調査を続けている。
2) AdSense (自分のウェブサイトに広告を掲載するだけで収益が得られる無料のサービス)
コメントする