アサヒグループホールディングスは6月30日、持ち分法適用会社で中国飲料大手、康師傅飲品の保有株全てを売却すると発表した。2019年までに約20.4%の株全てを合弁相手の中国即席麺最大手、康師傅に612百万ドルで譲渡する。
Anheuser-Busch InBevによるSABMillerの買収に際し独禁法当局の条件に基いて取得したSABMillerの西欧・東欧事業に投資を振り向ける。
2016/2/16 アサヒビール、英SABMillerの欧州事業の一部を買収
アサヒは2004年に中国の飲料事業の強化を狙って、伊藤忠とともに康師傅とのJVで茶系飲料や水飲料などを手掛ける康師傅飲品を設立した。
日本側持株会社 50%、康師傅50%。
日本側持株会社への出資比率はアサヒが80%、伊藤忠商事が20%。その後、伊藤忠は離脱。
アサヒから生産や販売のノウハウを提供し、中国清涼飲料では最大手に育っている。2015年末までのアサヒの連結業績への寄与は、累計で約1200億円超(税引き前)となっているという。
アサヒはその後、2016年9月、欧州事業に資金を振り向けるため、当時保有していた康師傅飲品の持ち株 30.4% のうち10%を康師傅が属する頂新グループ2社に334億円で売却した。
現時点での康師傅飲品の株主は次の通りで、今回、アサヒは100%子会社エイ・アイ・ビバレッジホールディングの持つ20.4%をすべて売却する。
康師傅(BVI) 52.5% 持株会社 頂新(Cayman) 22.1% 康師傅の親会社 AIB 20.4% アサヒビール100% 康師傅 5.0% 合計 100%
アサヒの持株推移 40%→32%→30.4%→20.4%→0
なお、アサヒは康師傅を傘下に持つ中国食品大手、頂新ホールディングに出資しているが、同社グループとの連携は続けるとみられる。
頂新グループは1958年に魏和德が台湾に創設した製油会社「鼎新製油工廠」が起源で、1974年に「頂新製油公司」となった。
1992年に天津開発区に「天津頂益国際食品有限公司」(現在康師傅)を設立し、康師傅ブランドのインスタント食品などを製造した。
現在では頂新グループは中国の食品・流通最大手である。
アサヒは2010年に頂新株式の約6.54%を取得した。
同時に頂新株式の20%を持つ伊藤忠(2008年に出資)と、中国及び台湾市場における食品事業の拡大を目指し、合弁会社シーエフアイ(アサヒ 25.93%、伊藤忠 74.07%)を設立した。
頂新への出資はシーエフアイを通じて行うこととした。
その後、伊藤忠は2014年にアジア有数の大手複合企業の一つ タイのCharoen Pokphnad Group (CP)と資本・業務提携契約を締結した。
2014/7/26 伊藤忠、タイのチャロン・ポカパングループと資本・業務提携
伊藤忠とCPグループは2015年1月、中国最大の政府系企業グループ「中信集団」(CITIC Group) の3社間で戦略的な業務・資本提携を行うと発表した。
2015/1/22 伊藤忠商事、タイのCPグループと共同で中国中信集団と戦略的業務・資本提携
伊藤忠は、中信集団と中国で食料・物流分野の市場開拓を進めていることから同業である頂新との競合を避け、円滑に協業を進めるため、経営への関与を薄める必要があると判断し、頂新ホールディングを連結対象外にすると発表した。
アサヒとの共同出資会社シーエフアイを通じて保有する頂新株の伊藤忠の持ち分をシーエフアイから買い取る。
伊藤忠が保有するシーエフアイ株全てをシーエフアイに1619億円で売却する。
この結果、シーエフアイはアサヒ100%子会社となった。頂新には約6.54%を出資する。
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アサヒは2016年10月25日、出資する中国の食品大手「頂新ホールディング」の企業価値が減少したとして、株式評価損 371億円を計上すると発表した。
中国経済の成長鈍化で頂新傘下の食品会社などの業績が悪化、株価が下落した。
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