オバマケア代替法案、上院で再び頓挫

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米上院共和党による医療保険制度改革(オバマケア)改廃への取り組みは、7月17日夜に新たに党内から2人の造反が出たことで頓挫した。

上院議員は現在、共和党52、民主党46、無所属(民主系)2 となっている。

共和党では既に2人の議員が反対を表明しており、与党造反が合計4人となって、賛成票は過半数に届かない。

オバマケア撤廃という共和党の7年越しの悲願は再び暗礁に乗り上げた。

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Trump大統領はオバマケアの廃止を公約としていた。

米上院は1月12日、オバマケア撤廃に向けた法案の策定を各委員会に指示する決議案を可決した。翌13日に下院も賛成多数で決議した。

大統領は1月20日の就任当日に最初の大統領令を出し、オバマケアの撤廃に向け、各省庁に現行制度による経済的負担を軽減するよう指示した。

米下院の共和党議員らは3月6日、低所得者向け医療費補助制度の拡張などを含む医療保険制度改革法(オバマケア)を廃止する法案を発表した。

民主党は、税金廃止や税額控除で富裕層が恩恵を受け、数百万人の中低所得者層から保険を奪うとして反対を表明した。

共和党保守派は代替案をオバマケアの「焼き直し」などと批判、オバマケアの完全な廃止を求めた。

超党派の議会予算局(CBO)は3月13日、法案が成立すれば保険加入者数は2018年に現行より約1400万人、2026年には約2400万人減るとの見通しを発表し、ショックを与えた。

共和党は3月24日の採決を予定したが、可決の見通しが立たず、トランプ米政権は同日、オバマケアを見直す代替法案の下院本会議での採決を見送り、法案を事実上撤回すると表明した。

2017/3/27 オバマケア代替法案撤回

その後、共和指導部は、病歴のある加入希望者に保険会社が割増保険料を請求することを認める一方、既往症のある人に保険料補助を出すなど、保守派、穏健派双方の議員に配慮して法案を修正した。 

米議会下院は5月4日の本会議で、共和党が提出した医療保険制度「オバマケア」の廃止と、これに替わる制度の創設を盛り込んだ法案(American Health Care Act )を賛成217、反対213の僅差で可決した。共和党からは20人が造反した。

2017/5/9 オバマケア代替法案 米下院が可決 (法案内容も) 


オバマケア代替法案を巡り、上院共和党では穏健派が無保険者の増加につながると懸念する一方、保守派はオバマケア廃止には不十分と主張し、見解が割れている。

上院案は下院案をおおむね引き継ぎつつも、低所得者の民間保険への加入を促すための支援策を手厚くした。

トランプ大統領は6月27日、52人の共和党上院議員全員をホワイトハウスに呼び、今後の対応について協議した。

しかし、過半数の賛成は見込めず、米共和党上院トップのマコネル院内総務は同日、党内の支持を増やすため、採決を先送りすることを決定した。

米議会予算局(CBO)は6月29日、米上院の代替法案が施行された場合、2026年までに無保険者がオバマケアに比べて2200万人増えるという試算を発表した。

2026年の無保険者は推定4900万人に達し、現行法の約2800万人に比べて大幅に増える見通し。

試算では、同法案によって財政赤字は今後10年で3210億ドル削減できるとした。(現行法ではメディケイド向け支出が今後20年にわたり年間 5.1%拡大すると試算。一方、上院の法案が施行されれば、2026年までは年間 1.9%のペースで拡大、その後の10年は年3.5%拡大する。)

共和党のマコネル上院院内総務は7月11日、上院の修正案を7月13日に発表し、審議を開始し、7月18日の週に採決すると発表した。修正案の内容は明らかにしなかった。

しかし、7月17日夜に新たに党内から2人の造反が出て、反対が4人となったことで今回も頓挫した。

トランプ大統領は同日、ツイッターへの投稿で「共和党はオバマケアを単に撤廃し、白紙の状態から新たな医療保険制度を作り出すべきだ。そうすれば民主党も参加する」と呼びかけた。

Republicans should just REPEAL failing ObamaCare now & work on a new Healthcare Plan that will start from a clean slate. Dems will join in!

病気静養中の共和党重鎮のマケイン上院議員は、声明を発表し、米国民に質が高く手の届く医療保険制度を提供するため、超党派で取り組んでいくべきだとの考えを示した。



付記

米上院は7月25日、オバマケア見直しの法案審議を開始することを承認した。脳腫瘍と診断されアリゾナ州の自宅で療養中のジョン・マケイン上院議員も出席、採決は50対50の同数だったため、上院議長であるペンス副大統領の判断で可決した。
ただ与党・共和党内の対立で法案の内容は固まっておらず、法案成立につなげられるかどうかは不透明。

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同日行われた第1弾の包括的な代替法案である通称"Trumpcare 3.0"の採決では、共和党から9人の造反が出て43対57の反対多数で早くも否決された。

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上院は7月26日、オバマケア廃止法案(2年後に廃止する、それまでに代替案を検討するという案)を採決し、45対55の反対多数で否決した。与党・共和党(52人)から、手術から復帰したばかりのマケイン上院議員を含む7人が反対した。

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上院は7月28日、与党共和党執行部が作成したオバマケアを限定的に廃止する法案を賛成49対反対51の僅差で否決した。

"Skinny(骨と皮ばかり)"と呼ばれる法案で、個人の保険加入義務や医療機器メーカーに対する課税などオバマケアの一部だけを廃止する内容。しかし、米議会予算局の試算では、今後10年間で1600万人が保険を失うとされ、共和党からマケイン上院議員と他の2人が反対した。

この法案は共和党内で「最後の妥協案」とも言われていた。

トランプ大統領はツイッターで「3人の共和党議員と48人の民主党議員がアメリカを落胆させた(3 Republicans and 48 Democrats let the American people down.)」と強い不満を示した。

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